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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

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甘い果実

フェロモン症と言う設定を教えて貰い、大変燃え滾った結果。
結構好き勝手書いてる。(元の漫画?は良く知りません
・安易に現パロ
・安易に山奥とジャンが幼馴染設定
・エロだけどあんまりエッチくないかも
・フェロモン症なジャン
・未遂ですがモブジャンが盛り込まれております
・だーっと書いた突発クオリティ
・山奥ジャンの3Pわっしょい
・ちょっとベルが一人でいじいじしてる





【甘い果実】

 最悪だ。
 何でこんな目に。

 ある日、唐突に体質が変化するのは、アレルギーなどの知識を持っている人間なら誰でも知る事だろう。例えば、花粉症。今まで症状が出た事なんかなかったのに、急に症状が出始めて日常にも支障をきたし、薬の副作用で苦しみながら日々を過ごす羽目になる。
 多少、肌が弱かったり、風邪程度は引いたとしても、病気やアレルギーとは無縁だったはずの俺に降りかかった災難。

 自分がこんなものになるなんて、想像すらしていなかった。
 病院で貰った薬を自宅で眺めながら、肺から、腹から絞り出すような溜息。眺めているのも嫌になり、ベッドに寝転がると三日分の薬が入った袋を枕元へと放った。

 ※フェロモン症
 医者の説明によれば、これの発症者は性的欲求を催すフェロモンを出すようになってしまうのだとか。
 フェロモン、虫や動物を紹介するテレビなどで見聞きした覚えはあるが、人間に必要なものなのか。どうしてこんなものが出てしまうようになるのか。全く以って迷惑な話だ。

 『発症者に好意を寄せる人間』が近づくと、その人間はフェロモンに誘発され、発情してしまうと言うやっかいなもの。『発症者が好意を寄せている人間』でない辺り本当に性質が悪い病気だ。人気のある芸能人などが発症したらどんな阿鼻叫喚の地獄が繰り広げられるのやら。

 薬でフェロモンは抑制出来るそうだが、完璧ではないと聞いて不安が残る。
 医師曰く、ちょっと気になる程度のささやかな性的欲求、好意であれば、薬を飲めば感じなくなるが、好意が強ければ強いほどフェロモンは強く相手を惹きつけるそうだった。
 その好意、例えば友情、親愛、家族愛。そういったものならば大丈夫だそうで一先ずは安心した。当たり前だ。友達や家族に発情なんてされた日には、自殺でもしかねない。もう引き籠って部屋から出られないだろ。

 頭の中で考えては、ぶつぶつぶつぶつ愚痴ばかりが漏れる。
 最近、体調が優れず病院で血液検査を受けてみればとんでもない結果が出たものだ。憂鬱になっても仕方がないのだと自己肯定する。医師には、こんこんと薬は一日三回、きっちり飲むようにと言い含められたが。
「阿保くさ、俺に恋だの愛だの、性的欲求だの、抱いてる奴居ねーだろ」
 言っていて悲しくなってくるが、悲しいかな俺は嫌われ者だ。
 正直が過ぎて、言い過ぎる事は多々ある。
 気に食わないとわざと挑発するし、しょっちゅう殴り合いの喧嘩になるような奴も居る。付き合いのある同じ大学の『仲間』であれば思い浮かぶが、『友達』の括りとなってしまうと、上げられる人間は数人しかおらず、俺から恋をした事はあっても、女にモテた事は未だかつてなく。まして、女顔でもないから、男にどうこうされるなんて心配もないだろう。
「はっはっは、嫌われもんで良かったなー……」
 自分で言って、自分で傷を作ってどうする。
 自らの発言に枕に顔を埋めて、普通に落ち込んでしまった。

「はぁ、がっこ行こ……」
 薬を鞄に入れて午後からの講義へ向かうべく電車に乗ると、肩が触れ合う程度には込んでいて、少々辟易してしまう。もっと休めよ社畜共。なんて、内心毒吐いてみるが、自分もその内そうなるのだ。邪険にしてはいけない。

 将来の目標は安定した公務員。
 夢を持てと教師には散々言われたが、安定志向の何が悪い。
 そのためにしっかり勉強し、対外的な事も学んでいく。安定こそ最高にして、至高だ。

 そして、お見合いでもして、可愛い奥さんと、可愛い子供が出来て穏やかな老後。完璧だ。自分の将来設計を思い描き、満足いく設計だと頷いてみる。フェロモン症なんて、何の障害にもならない。なる訳がない。
 車内から、流れていく景色を見ながらぼんやりしていると、尻の辺りに違和感を感じて眉根を寄せた。まぁ、混んでいるし、手が当たったんだろう。最初はそう考えたが、じっとしていると、次第に違和感は明確な形に。首筋に当たる生暖かい呼吸。デニムパンツの縫い目に沿って、指を這わせ、尻を撫でる手。手は後ろから股座へ撫でながら伸びてくる。
 ぞ、と全身が一気に総毛立ち、考える間もなく背後に立つ人間を突き飛ばしてしまった。大小の悲鳴が上がり、急に人間を突き飛ばした俺に非難の眼が注がれる。
「あ、いや、その……、だって……」
 手をおろつかせると、肩にかけていた鞄が肘まで落ち、逆さまになった拍子に蓋が開いて中身が床にばらまいてしまい、焦って拾い集めようとしゃがみ込む。

 フェロモン症かよ……。
 誰かが、ぼそりと言った。袋に書いてある薬の名前を目敏く見咎め零したのだろうか。薬の名前を見ただけで何の薬か判るなんて、俺を触っていた人間か。それとも他の。恐る恐る顔を上げれば非難の目が更に強まった気がした。

 薬も飲まないで相手でも探してたのかね?

 男か女も解らない声は潜められているが、耳は俺を非難する言葉をしっかり拾っていた。ずくんと心臓に杭をつけられたような痛みが走る。
 医師から、聞かされてはいた。世間一般に認知されてはいるが、フェロモン症を誤解している人間も多い。発症者自身が発情するだとか、誰彼構わず誘惑する病気だとか、性依存症のように考える人間もおり、『そう言う病気』なのだから、性的被害に遭っても仕方がない。当然だ。とみられる風潮もある。と。必死で楽観的に考えていたが、一部とはいえ、悪意を目の当たりにすると思わず身が竦み、目や顔が熱くなっていく。
 教科書や薬を引っ付かんで鞄に仕舞い、丁度良く開いた扉から逃げるように飛び出した。とぼとぼと歩いていると、来た事がない繁華街に出てしまい、完全に講義は遅刻だと肩を落として諦める。
 今日は一コマだけだし、必須の奴じゃないし、単位は。まぁ大丈夫だろう。どこかで適当に買い物でもして、そのまま帰って本でも読むか、後は勉強でも。と、頭の中で算段を立てていると、突然、腕を強く引かれて驚きに目を見張った。
「なぁ、お前、ちょっと俺達とこねぇ?」
 耳はピアスだらけ、刺青も手や、首、見える肌に散見され、髪形も、服装からも、見るからに柄が悪そうな年上と見られる男二人に、ぐいぐいと抵抗空しく腕を引かれ、引き摺られるように地下施設へと引き摺り込まれた。
 性質の悪い人間が根城にしている場所なのか、酒瓶、煙草の吸殻はまだしも、明らかに使用済みのコンドーム。用途を想像したくない注射器まで床に転がっていて、全身に怖気が走った。
「可愛い匂いさせて、僕の事可愛がってー。って誘ってんだろ?」
 下卑たにやけ面を隠そうともせず、迫ってくるピアス男。
 壁を背に、鞄の紐を握り締めて勢い良く首を振るが、げらげらと下品な笑い声が返ってきただけだ。
「あぁ、泣いちまった。可愛い~。ちっちゃいお尻も可愛い~」
 もう一人の刺青男が馴れ馴れしく肩を抱きながら、顔を舐めてくる。
 悍ましいなんてものじゃない。全身に鳥肌が立ち、背中に氷でも流し込まれたような寒気に全身が襲われた。
 何とか逃げる方法は。と、視線を巡らせていれば嫌が応にも、二人の膨らんだ股間が見えて恐怖は臨界点に達しそうになった。埃っぽい丸テーブルの上に二人がかりで体を押さえ付けられ、やだ。と、繰り返してしゃくり上げて涙を零した。男達は嗤うだけだ。
 出る前に薬を飲んでおけば良かった、なんて後悔はもう遅い。

 ベルトを外され、デニムパンツに手をかけられて終わった。と思った。
 男だから大した事ない。我慢していれば直ぐ終わる。と、自分に言い聞かせ、耐えるつもりで強く目を閉じ、災禍が過ぎるのを待とうとしたが、勢い良く走る足音が聞こえたかと思えば地を蹴る音。次いで蛙が潰れた様な声に、がしゃん!と物が薙ぎ倒される酷い音が地下に響き渡った。
 顔を上げると、性質の悪そうな二人は床に伸びていて、新しい男が二人立っている。
「何だこいつらは、糞が。ジャン、無事か?」
「大丈夫?怪我はしてない?」
 脅威が去った事と、救われた事。
 共に身を案じる言葉に、途端に気が抜けて腰が砕け、汚い床に座り込んで大泣きをしてしまった。
 散々、二人に慰められながら泣いて気分も落ち着いた頃、水も無しで薬を飲み、場所を移動して事情を説明した。仕切りのある古風な喫茶店は、周りの目を気にする必要もない。
「はー、話には聞いた事あったが、身近には居なかったからな、不思議なもんだ」
 そう言って、困ったような素振りを見せたのは、昔から兄貴分として慕っていたライナー。
「そうやって、自分を軽く見てしまうのはジャンの悪い癖だよ。ちょっと反省しな」
 少々、呆れたように言い放つのはライナーの義理の弟のベルトルトだ。昔から、二人とは仲が良く、大学に通うために家を出た後も付き合いは続いている。
「でも、お前等が偶々居てくれて良かったよ。ほんと」
「お陰で俺等は後で恨み言を言われにゃならんな」
「はは、まぁ、ジャンが無事だったんだからいいじゃないか」
 何でも、サークルのグループで遊びに来ていたらしく、俺が引き摺られている姿をベルトルトが偶然にも見つけ、ただ事ではないと察して二人で飛んで来てくれたらしい。出された暖かい紅茶を一口飲んで、泣き過ぎて痛くなった目を擦る。薬を飲み続ければ、いつかは症状は消えるんだろうか。あぁ、憂鬱だ。
「あんまり目を擦ったら駄目だよ。痛いだろ?」
 未だに滲んてくる涙を誤魔化そうと目を擦っているとベルトルトに止められた。手を握られていると安心するのか、どうしようもなく涙が溢れる。
「暫く俺達の所に来るか?一人だと不安だろ?」
「邪魔じゃないか?」
「そんな事ないよ。おいで」
 確かに、一人で居ると嫌な事ばかりを考えそうで、二人の勧めもあって、言葉に甘えて世話になりに行く事にした。

 親が再婚同士の兄弟であり、色々助け合えるから。との理由でルームシェアをしているライナーとベルトルトが借りている部屋は、二人が大柄なだけあって広い所が選ばれていた。1LDKの部屋で、リビングはカウンターキッチンと繋がっており、それ以外の部屋は洋室が一つ。脱衣所付きの風呂、トイレは別。
「相変わらずお前等、同じ部屋で寝てんの?夫婦か?」
「ベッドは別なんだからいいだろ。他に部屋がねぇんだよ……」
 部屋選び、入居時に相当、喧嘩をしたらしいが、金銭面も考え、精一杯の妥協をして寝室は
一緒になったらしいと聞いた時は、ただでさえ付き合っている疑惑があった二人の噂に拍車をかけ、理由を知っているジャンは大笑いをして叱られたのは懐かしい記憶だ。
「お前も、一緒だからな、文句なしだぞ」
「わーってるって。世話になる以上、文句はねぇよ」
「折角だし、ベッドくっつけようよ。絶対楽しいよ!」
「修学旅行かよ。まぁいいけど」
 不安な時に、気心の知れた者が一緒に居てくれるだけでもありがたいと言うのに、励ますように明るい話題を振ってくれる。自然と笑みが零れ、暗かった心の暗雲は徐々に晴れて行ったのだった。

   〇◇△▽◇〇

 家事も分担してお互いに助け合い、数日は何事もなく過ぎた。
 薬が切れそうになれば病院を受診し、薬を貰い、きちんと飲むように気を付ける。ライナーとベルトルトにも口を酸っぱくして注意されているとあって、早々忘れる事はなく、学校生活も通常の生活も、問題なく過ごしていけそうで、世話になった二人に感謝しかなかった。

 夜はベルトルトの思い付きでベッドを寄せ、寝心地の悪い真ん中で俺が寝て、両端で二人が寝る。翌朝には居心地のいい場所を求めて、どちらかに転がって行っているのが常だが。
 可笑しくなり始めたのは、共同生活が一週間も経とうとした頃。夜中に目が覚め、キッチンに水を飲みに行こうとすると、玄関前にあるトイレの扉が薄く開き、明かりが漏れていた。
 そういえば、ベルトルトの姿がなかったと寝ぼけ頭で思い出す。

 トイレで下半身出したまんま寝てんじゃねーだろうな?なんて思いながら近づくと、荒い呼吸音。小さく聞こえる水音のようなものと、鼻にかかったような声。
 男であるならば当然のもの。そうだよな、『するよな』。人と一緒に住んでたら部屋で堂々とする訳にもいかないんだし。と、動揺する自分を懸命に納得させ、戻ってからも心臓が煩かった。
 何故か、二人は、そう言うものとは縁遠いと勝手に思っていたせいか妙に気恥ずかしい。そうっと寝室へ戻ると、ほどなくしてベルトルトが戻ってくる。寝た振りをしてやり過ごし、気付かれていませんようにと必死に目を閉じていれば、いつの間にか眠ってしまって、あれだけ緊張していたにも関わらず、目を覚ましたのは俺が一番最後だった。案外呑気だ俺。
「頭、凄い寝ぐせだよ?」
「あー、まじで?洗面所で直してくるわ」
 普段と変わりなく接してくるベルトルトに安堵し、浴室に併設された、脱衣所兼洗面所に行くと、シャワーの音がしていた。ライナーだろう。最近、朝風呂がやたらと多い。夜にも入ってるのに几帳面な奴だ。

 歯を磨き、髪を直していると、シャワーの音が止まってライナーが出てくる。俺を見ると驚いて、あからさまに動揺して朝の挨拶をするものだから変な感じだった。
「何だよ?風呂入ってたのに、まだ寝惚けてんのか?」
「いや、そう言う訳じゃ……」
「んー?まぁ、いいけど。それよっかほんとすげー筋肉だよな。どうやったらこんなん付くんだ?」
 口を漱いだ後、何気なくライナーの体に触ろうとすると手は空振り、一瞬、思考が止まり、数秒後に避けられたんだと気が付いた。
「あ、ご、ごめ。気持ち悪いよな。ごめん」
「違う、誤解だ!」
 二人があまりにも普通に接してくれるからフェロモン症の事など、ほとんど忘れていた。脱衣所から飛び出して、慌てたように鞄の中から薬を出して唾液で嚥下する。少し泣きそうだ。
「どうしたのジャン?なんか顔変だよ?」
「顔変ってお前……、どうせお前等みたいなイケメンじゃねぇよ」
「何言ってんのさ、ジャンは十分、格好いいし、可愛いじゃないか?」
「ベルトルト、ちょっと眼科にかかって来た方がいいんじゃねぇのか?」
「正常だよ。変な事言うなぁ」
 ベルトルトは深く追及されたくない俺に気づいてくれたのか、幼稚な話題逸らしに乗ってくれた上で、そのまま雑談をしていると、浴室からライナーが気不味そうな表情のまま出てくる。明らかに俺に気を使って、言葉を選ぼうとしているが選びきれず困っている様子だった。
 気を使わせてるなぁ。と、改めて実感する。
「あのさ、もう大丈夫みたいだし迷惑かけたな。今日までで俺、出てくから」
「え、どうしたのさ急に、ジャンがいいだけ居ていいんだよ?」
「そうだぞ、俺等に迷惑なんざ掛かってねぇよ」
 二人のありがたい言葉には首を振り、苦く笑って見せる。

 こいつ等が優しいからって、ちょっと甘え過ぎたな。

 引き留めようとする二人を振り切り、ジャンは反省しながら大学に向かい、バイトを終えた後に食材を調達して最後の夜を楽しむ事にした。
 二人も前日の内にバイトで遅くなると言っていたため時間はある。幸い、キッチンはそこそこ広く、作りながら下拵えの作業は苦にならない。ライナーとベルトルトの好物と、作れる範囲の得意料理を黙々と作り続け、夕刻も過ぎて玄関の扉が開いた頃には食卓に家庭的ながらも、美味しそうな料理が広がっていた。
「餃子とから揚げと、パスタとオムライスとシチュー?随分と多種多様だな?」
 加えてバランスを考えて野菜スティックと、葉物のサラダなども置いている。ライナーの言う通り、統一性は全くないが、それぞれの好物を一品ずつ加えるとこうなった。
「別に美味しかったらいいよー。嬉しいな」
「随分、頑張ってくれたんだな。ありがとう」
 素直に作ったものを喜んでくれるベルトルトに、苦労を労わってくれるライナーに、照れたように笑い返し、最後の夜は全力で楽しむ事にした。別に今生の別れって訳でもないけれど。
 腹も満たされ、少し酒も入って気分良く風呂も終え、パーティー気分はひと眠りすれば終了だ。ベッドに飛び乗り、目を閉じる。


 眠れば終わり。
 そのはずだったが、寝苦しさに瞼を開き、原因を探ろうとすれば絡みつく腕が原因だと直ぐ知れた。
「ジャン……、起きた?ごめん、もう、我慢出来そうになくて」
「お前、薬飲み忘れただろ……?」
「後、寝るだけだし……」
 二人が俺をどうこうする訳ない。
 もしかしたら嫌われたかも知れないし。
 そう考えて、節約しようと夜の分は呑まなかった。
「薬飲んでても危なかったのに、もう、だから危機感無いっていつも……!」
 寝間着にしているシャツのボタンをベルトルトが引き千切り、冷えた空気に肌が晒され、寒さに震え、肌が総毛立つ。
「正直、毎朝甘ったるい匂いが凄くてな、やばかったんだ……」
 荒く息を吐きながら、ライナーがズボンを剥ぎ取る。
「こっちはなぁ、お前が怖がったら嫌だからって、我慢してて……」
「そうだよ。本当に君は、自分の事が解ってない、でも、もう無理だから」
 ライナーの指が、後孔に入り込み、脚が震えた。眠っている間に、色々と弄られていたらしい。酒なんか呑むんじゃなかった。などと考えても後の祭りだった。
「はぁ、甘い……、ジャン、美味しそう」
 ベルトルトが後ろから抱きかかえ、膨らみのない胸を触り、首筋を舐め、
「あぁ、どこもかしこも、甘ったるくて、堪んねぇな」
 後孔からライナーが指を引き抜き、勃ち上がった性器を、俺に見せつけるようにズボンを下す。
「無理、駄目だって、こんな、俺、男だぞ。こんなのするほど俺が嫌いなのかよ」
 せめてもの抵抗にベルトルトの腕を掴み、脚を閉じて説得を試みるが、
「お前こそ忘れてんのか?フェロモン症ってのは……」
「そうだよ、ジャン、好きじゃないと……」
 二人の言に一つ瞬き、症状を思い出す。
 好意が強ければ強いほど、抑制剤を呑んでいたとしても、フェロモンを感じ、中てられてしまい、否応なしに対象に欲情してしまうと。

 薬を飲んでいても危なかった。
 薬が効いているはずの朝でも甘い香りを感じていた。
 それが意味する所は。
「その癖、薬を飲んでねぇだと?」
「我慢出来る訳ないだろ!」
「え、あ、ごめ……」
「今更、気付いてもおせぇよ」
 ライナーの剛直が体内へと侵入してくる。
 呼吸が困難になるほどの圧迫感、押し入ってくる感覚に喘ぎ、触れるベルトルトの手は、触れられた場所が痺れたように甘く疼いた。
「あぁ、ジャン、苦しい?初めてだもんね」
「孔が狭くて、俺もいてぇくらいだな」
「い、き、くるし、い……」
 知らず、目には涙の膜が張り、息も絶え絶えに告げるとライナーは性器を引き抜き、労わるように腹を撫で、ベルトルトは幼子をあやすように額に口付る。
「後ろからなら、ちょっと楽なんじゃない?」
 ふむ、とライナーが鼻を鳴らし、体が反転させられた。
 温く滑る液体が臀部にかけられ、具合を確かめるように指を入れてくる。
 抜いてくれた時に、止めてくれるのかと期待したが、そんな気はさらさらないらしい。ひたりと再度、ライナーの硬く、太い性器が押し当てられ、沈み込んでいく。
「ジャン、僕も相手してよ、ね?」
 苦しさに、目の前のベルトルトに縋りついていれば、必死で呼吸しようと、開きっぱなしになっていた口元に指を当て、唇をなぞりながら自らの性器に手を触れさせる。
 ベルトルトのものも、今にも破裂しそうなほど勃ち上がり、開放の瞬間を待っているようだった。
「エッチなビデオとか、本くらい見た事あるよね?」
 言いながら、性器を唇に当ててくる。何をして欲しいかは察さざるを得ない。やらないといつまでも終わらない。ぐちゅぐちゅと音を立て、中を擦られる感覚に震えながらも、先端を口に含み、吸ってみれば、ベルトルトから鼻にかかったような声が漏れた。
「ジャン、こっちもちゃんと気にしといてくれよ」
 上擦る興奮し切った声。俺の性器を武骨な手が包み込み、律動と同時にゆるゆると擦り上げてくるものだから、ベルトルトの性器を咥えておれず、口から離してしまい、ライナー。と非難がましい声が上からした。
 太く硬い性器が、何度も中を抉るように押し込まれ、知らず腰が跳ねて、ゆらゆらと誘うように揺れ、ベルトルトにはしがみつくだけで精一杯。
「ジャン、きついなら咥えなくてもいいから、舐めて?出来る?」
「ん、ぅん、解った、から、もっ、ゆっくり、してっ……」
「ははっ、わるいな……俺も、ぎりぎりでね」
 言われるままに、性器に舌を這わせ、手でも刺激してやると、ピクリと反応する。
 褒めてくれるように髪を梳く、長い指が心地好い。
「ジャンの息、熱いな」
 粘膜に直接かかる吐息が堪らないのか、見上げれば薄く笑んだ表情で見下ろすベルトルト。
 後ろでは容赦なくライナーが突き上げて来て、もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。

 ライナーが一気に性器を引き抜き、腿に生温いものがかかる。
「じゃあ、次、僕の番だね」
「待てよ。出しても、全然治まんねぇんだけど……」
「交代だよ。最初に約束しただろ?」
 約束って、人の居ない所で何勝手に決めてんだ。
 そう抗議したいのは山々だったが、何せ余裕は皆無だ。

 ベルトルトの方へと体が引き寄せられ、ライナーよりは細いが、長い性器が入り込んでくる。
「はっ、やぁ、あっ……あ、んん、ん、ベル、やぁ、おく……っ」
 感覚だが、ライナーのものは太く、硬くて中をごりごり擦り、ベルトルトのものは、長く、奥まで抉り突き上げてくる。どちらも確実に男性平均以上だ。
 膝立ちのような状態で、がつがつ突き上げられ、手を泳がせると、今度はライナーが掴んでくれる。
「ひう、あっ、あっ、ひっ、らいなっ……」
「あぁ、頑張ろうな」
 逞しい肩に縋りついても、中々に無情な科白がもたらされ、夜はまだまだ長いのだと思い知らされてしまった。

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