忍者ブログ

馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

事故で死んだかと思ったら、嫁の腹にいた自分の子に転生してた=その三=

・オメガバース
・男体妊娠や、授乳描写
・フロック成長記録
・中身はフロックなので、めんどくさい奴です






 十月の八日。
 以前の俺の誕生日。
 奇しくも、赤ん坊の俺も同じ誕生日。
 ここまでくると、本当に、神か悪魔が俺で遊んでいるとしか思えない。

「フロック、一歳おめでとう」
 ジャンが俺を抱きかかえて額に口付ける。
 父母の助けもあって体調も安定してきたのか、顔色が良くなってきた。
 俺の目の前には小さなケーキが据えられ、一歳を祝う文言が書かれ、可愛い兎と熊がソフトクッキーで作られていた。
「ほら、フロック、あーん」
 赤ん坊用の椅子に座らされ、拘束の後、ジャンの手ずからケーキが与えられる。
 アレルギーに煩い昨今ではあるが、俺は幸い、アレルギーらしいアレルギーはない。しかし、気にはしているのか、乳、小麦、卵不使用の物を買って来たと先程ジャンが両親と話していた。
 ケーキに必要な食材を使わずしてケーキが作れるとは、俺には想像もつかない。世の中の研究者達は実に熱心だと感心し、与えられたものを口にすれば、味も悪くはなかった。
「あー」
「待てって、せっかちだなぁ」
 体が椅子に固定されているため、自分で食べるような事は出来ないので、足をじたばたさせながら体を伸ばし、口を開けて次を催促すればジャンは微笑みながら、赤ん坊用のプラスチックフォークでケーキを一口分削り、口に入れてくれる。うむ、美味い。
 半分ほど食べたくらいで次を催促してもくれなくなった。
「あと半分は明日な?」
「うぎっ!」
 椅子が軋むほど体を揺らしてもっと寄越せと主張するが、俺が求めるケーキはラップをかけられ、敢え無く冷蔵庫の中に仕舞われてしまった。なんてこった。赤ん坊だからと薄味でふにゃふにゃの物ばかりを食べさせられ、食に飢えている身に、久々の甘味を奪われる屈辱。やっぱり早く大きくなりたい。
 抵抗空しく欲するものが奪われた事実に、すんすん泣いていると、ウェットティシュで口の周りを拭われ、はいはい。と、背中を叩かれた。悔しいがないものは仕方ない。ごそごそ胸を触って乳を欲しがれば、ジャンは二階の自室へ行き、体が母乳を作っているからか以前よりも膨らんで触り心地のいいおっぱいを出して俺が飲み易いよう支えてくれる。
「もー、おっぱい弄り回しながら飲むなよ。エロ親父かお前は」
 乳を飲みながら、空いているおっぱいを揉んだり触ったり、乳首を掴んだりしてれば、ジャンが俺を困ったように見下ろしてくる。おっぱいは全人類が好きだろ。俺は悪くない。
「んむぅー……」
「文句言うな、あんまり弄られると痛いの」
 おっぱいを弄っていた手を握り込まれ、触れなくなった事に口を尖らせて講義すれば、俺の手を掴んだ手の人差し指で俺の額をつんつん小突いてジャンが苦言を呈する。
 そうか、痛かったのか。おっぱい吸う時も、ずっとしゃぶっていると、肌の保湿力が吸われて乾燥して痛いと言っていた。クリームを胸に塗り込んでいる様子は中々興奮したし、善きもので、堂々とおっぱいを吸える時期に、存分に堪能しておこうとしていたのだが、上手くいかないものだ。
「うぬぅん……」
「なんだよ、その仕方ねーな。みたいな……」
 大人の俺だったら、舌打ちの一つでもしていたかも知れない。
 赤ん坊では舌打ち出来ないので、俯いた俺は頬を膨らませつつ、むーむー呻るが精々だ。俺を膝に座らせ、服を整えたジャンが俺の両頬を手で挟んで中の空気を押し出すと、ぶしゅ。と、変な音が出た。
「むいー!」
「わっはっは、餓鬼が大人の力に勝てると思うなよ」
 顔を潰されて苛立った俺はジャンの手を剥がそうと尽力するが、全く外せない。頬をむにむにぷにぷにして遊ぶな。
「あいってて……、爪を立てるな爪を……」
 一生懸命握り過ぎて、爪でジャンの指を引っ掻いてしまっていたようだ。所詮は赤子の小さな爪だが、皮膚が薄く捲れているようで指の一部分が薄赤くなっていた。
「あー、痛い痛い」
 わざとらしくジャンが言いながら、指を舐める。
 以前ならこれで興奮して伸し掛かってたが、残念ながら俺は赤子でジャンを満足させるようなものがない。嘆かわしい。本当に、一気に大人になる秘密道具などがないものか。青い狸の開発を頑張って欲しい所だ。
「んーんー……」
「なんだ、心配してくれてんのかー、優しいなぁ」
 せめて、指を労わってやろうと、俺のせいで傷ついた握って撫でていればジャンは目を細めて悲しげに笑う。何故、そんな顔をする。
「お前のお父さんも、面倒な奴だったけど、なんだかんだ優しかったんだぜ、弱っちい癖に体張って俺を護ろうとしてくれたし」
 お前は相変わらず一言余計だな。
 弱っちいなんて言うな、この野郎。
「むい」
 ジャンの頬を小さい手でぺちぺち叩くが、可愛い。なんて喜ばせるだけで全く怒りは伝わらず、面白がられるだけと分かっているが、先程の悲しそうな笑顔よりは良い。
 こんな顔をして欲しくなくて、求婚したはずなんだが、なんでこんな事に。いい方に考えれば、あまりに状況が不憫だったため、神、いや、やっぱり悪魔か?どっちかは知らないが、再び一緒に暮らせるよう計らってくれたものか。
 それ自体はありがたいんだが、また夫婦生活が出来るようになるまでが長過ぎる。

 確か、妊娠報告を受けた頃は寒い季節で、ジャンが二十歳になる誕生日前。既に妊娠数週間目に入っているとのメッセージが入っていたはず。
 それから二十歳の内に出産したと考えれば、俺が十五歳になる頃には大体三十五歳で熟れている年頃。悪くないが、道徳や倫理的に息子の息子を受け入れてくれるのかどうか。
 迫っても逃げないように、俺がフロックでお前の夫だと信じて貰えるよう策を講じなければ。
「ぬーん……」
「お手てぽかぽかだな、眠いのか?」
 俺が難しい顔をして、考え込みだしたからか、眠くなりだしたのかと思ったのか、ジャンが抱っこして体を揺らして子守唄を歌ってくれる。いい声だ。
「お前は、元気で居てくれよ……」
 うとうとし出した俺の耳の側で、ジャンが小さな震える声で呟き、ぎゅ。と、抱き締めてきた。もちろん元気で居るつもりではあるが、人生、思いがけない事故がある事を思い知った。自分が幾ら気を付けていても危険は襲い掛かってくる。
 俺は勿論、お前も気をつけろ。そう言いたいが眠くて言葉にならない、そもそも喋れない。その上、暖かい胸に抱かれ、愛情に包まれながら眠るのは、なんと心地いいのか。

 これを味わうと、早く大人になりたい気持ちが幾許か揺らいでしまうのは由々しき問題だ。

拍手

PR