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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

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恒例行事

・何回も告白するフロ君
・なんか絆されてるジャン君
・エイプリルネタ



 四月の一日。
 言わずと知れたエイプリルフール。
 昔は『嘘を吐く日』なんて単純に言われていたが、今や朝に嘘を吐いて昼には撤回しなければならない。人を傷つつけるような嘘は良くない。などとあれこれルールが定められだし、企業まで悪乗りするお祭り騒ぎをする日になっている。
 一体誰が言い出したのか、やり出したのか、物事は単純が一番なのに面倒臭くなっていくばかりだ。
「なー、俺お前が好きなんだけど知ってた?」
「はいはいどーも」
 学校の帰り道、バーガーショップに寄り道してハンバーガーを囓りながら目の前に居る男に告白するが、対応はおざなりなものだ。
 本当にいい加減でムカつく生意気な野郎だ。スマートフォンを弄りながら、もさもさポテトを貪っているこいつは怠惰を口にする癖に成績はいつも上位で、運動も出来る。見た目もすらっとしてて小麦みたいな髪色で悪人面で目つきが悪いけれど顔は整っている方だ。
 誰だ?天は二物を与えず何て言ったのは。
「せめてスマホから顔上げれば?」
「告白してるんだから真剣に対応しろって?」
「平たく言えばそうだな」
 トレイに乗った軽い紙コップを握り、ストローを咥えてコーラを啜れば残りが少なかったせいで、ずず。と、汚らしい音がした。中身をすっかり飲み干して俺は顔を上げ、ジャンを真っ直ぐに見詰めながら、
「お前は神様から色んな物を与えられてるんだから、何もない俺にお前をくれても良くないか?」
 などと、舞台で演じられるシェイクスピア張りの大仰な身振り手振りをしながらジャンに訴える。
「お前さぁ、何年やんのそのネタ」
「さてなぁ……」
 十二歳頃にこの土地へ転校してきた俺がジャンと出会い、うっかり惚れてから四年目。早いもんだ。
「最初はびっくりしたけどさぁ、意味も理屈も意味解んねぇし、面白くねぇよ」
 人のポテトを食べ終わったジャンがスマートフォンから視線を上げ、やっと俺を見る。
 本人はどんな顔をしているつもりなんだろう。侮蔑か軽蔑か、それとも面倒だと言いたげなものか。けれど、俺の目には凜々しい眉を困ったように下げ、上目遣いに瞳を潤ませて見てくるジャンが居る。
 最初は『何言ってんだバーカ』と、笑って。二回目は『去年も言ってなかったっけ?』と、きょとん顔。三回目は『そう言うのは冗談でも言わない方がいいぞ?』と、糞真面目に。そして今回。いっそ何回目で真剣に考え出すのか楽しみになってきた。
「食い終わったなら帰ろうぜ」
 買い食いの相伴に預かっていたちゃっかり者が、さも待っていたと言いたげに腰を上げ、鞄を持って外に向かう。
 俺はゴミを片付け、トレイを回収場所に放ってからジャンの背中を追って隣に立った。
 来年の四月一日も必ず俺は同じ告白をする。
 次の反応が楽しみだ。

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