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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

寒い日の闖入者=その八=

・スミスさんが友情出演
・特に言う事がない
・最後やってます
・一応終わり(?)







 仔猫は三週間も経つと、小さな歯が生え始めていた。
 すると、やたら布やら俺やジャンの指やらを噛み始め、哺乳瓶の乳首部分も飲みながら齧ってくる。
「買い直しかな……」
 哺乳瓶を洗っている際に気づいたらしく、破れてしまった哺乳瓶の乳首部分を眺めながらジャンがぼやいていた。
 手を拭いて戻ってくると、ベッドから抜け出してよちよち家を散歩していた仔猫を拾い、大きさや重さを改めて確認しながら撫でてやる。どんどん大きくなっている様子が嬉しい。
「最近やたら噛むよな?」
「リヴァイさんが言うには、多分、歯が生えだして痒くて噛んでしまうんだろう。だって」
 赤ん坊がやたら物を口に入れるのと一緒だろうか。
 人間の育児経験のない俺が考えた所で、見当違いかも知れないが。
「もう歯も生えて来たし、飯食わせてもいい感じか?」
「そうだなぁ、ちょっとずつ与えてみるか、猫のご飯のコーナーに、仔猫用の奴あったから買ってくるかな」
 ふぅん。と、返事をしながら、スマートフォンで仔猫の離乳食を調べれば、ウェットフードから、ドライフードまで幅広く出てきた。
「仔猫用のドライフードをお湯でふやかすといいらしいぞ。食べない時はミルク飲ませて少しずつ慣れさせていけばいいってさ」
 俺の言葉に頷き、ジャンが仔猫を手に持って鼻を突くようにしてあやしている。俺が持っているもう一匹は既に腹いっぱいですっきりしてお休み中だ。毛がぽわぽわしているのは相変わらずだが、なんとなくだ模様もはっきりしてきたし、個性が出来てた気がする。
 ジャンが持っている仔猫は全体的柔らかい茶色で、黒い虎柄の模様が入り、活発に動き回る。俺の膝の上ですやすや眠っている仔猫は全体的に白っぽい灰色で、びっくりするくらいおっとりしている。ずっと一緒に暮らすのなら、名前も考えた方がいいんだろうか。
「名前どうする?」
「そうだな」
 ころ。と、ジャンが横になり、仔猫を床に下ろして手でじゃらす。仔猫は夢中でジャンの手に飛びつき、遊んでいたかと思えば急に倒れて俺を慌てさせた。
「大丈夫、寝ただけ。今は店でもこんな感じだからな」
 持ち上げても起きる事のない仔猫をベッドに寝かせ、俺に膝に居る仔猫も同じように寝かせておいた。
「名前……」
「難しいな……」
 例のモデルケースになる了承をして直ぐ、猫カフェに置いてあった仔猫の親を募集する張り紙も撤去された。こいつ等は俺達とずっと一緒に居る訳で、名無しな訳にもいかない。
「トラとかグレイじゃ駄目か?」
 見たままの名前を俺が提案すれば、ジャンはあからさまに眉間に皺を寄せた。仔共の名前をそんな風につけるのか。と、表情がありありと語っている。
「思い付きか?」
 素直に頷くと、眉間に皺がより深くなり、非難の目は強くなる。
「別に凝った名前つけろとは言わねぇけどさ……」
「お前はなんで、ジャンなんだ?」
 名前にそれほどこだわりがあるのは、何か考えがあるのか、自身の名前の由来を訊いてみる。
「あんたの名前は、私の一番大事な人の名前から貰ったのよ。そんな風に言ってたのは覚えてる」
 何やら複雑な背景がありそうな科白に、ジャンが安易につけようとした俺に不信を抱いた理由が分かった。大事な存在につける大事な名前。確かに、そいつにとってはそれで一生呼ばれる訳だから、安易過ぎたり変なものは嫌だろう。
「猫カフェではあの店長が考えてるのか?」
「あぁ、人間に飼われててある程度大きくなってる奴は名前があるけど、仔猫の場合は流石にな。色々候補を考えて、そいつが頷いた名前にしたって言ってたかな」
 それだと、ある程度大きくなってからがいいのか。大体、まだ性別も良く解らない。病院で多分どちらも雄。とは言われたが
「じゃあ、きちんとこっちの言ってることが分かるくらいになるまで保留しとくか?」
「そこまで小難しく考えないでも良さそうだけどな。そうするか」
 名前か。
 親になるって感じがするなぁ。

   ◆ ◇ ◆ ◇

 休日の朝から件のアパートの内見に赴き、あちらこちらを見せて貰った。
 案内人は金髪を七三に分けた体格のいい偉丈夫。胡散臭い笑顔が特徴で、名刺に書かれていた名前はエルヴィン・スミス。壮年の男性だ。役職は書かれていなかったが、やり手の営業マンか何かかな。

「では、こちらにどうぞ」
 アパート自体は長方形の建物に大きな三角屋根が乗せられ、正面に四つの部屋を分断するための空間あり、煉瓦調に作られたバルコニーが突き出た形になっていた。
 アパート自体は二階建てで、中央の空間に出入り用の玄関と、階段が設置してあり、その中の一階部分に当たる一室へと通される。

 中はパンフレットの写真で見るよりも結構な広さがありそうで、玄関から入ってすぐ横には脱衣所つきの浴室と、トイレに通じる扉があり、狭い廊下を通った先にはリビングとカウンター式の台所。
 台所の焜炉はIH式で大中小の三つ。水場は広く、猫が入らないように蓋もついており、それ自体がまな板にもなって便利なのだと説明された。壁がないだけでも随分広く見えるものだ。物を置けば、相応に狭くなるのだろうが、二人と二匹で住むのなら然程苦労はしないようだった。

 リビングは写真にあった通り、バルコニーに通じる大きな硝子戸がつけられており、太陽光をこれでもかと取り入れている。確実に猫の人気スポットになりそうだ。当然だが、パンフレットにあった天窓は、二階限定のようだ。一階と二階、少々迷う。
 屋内は天井が高めで、猫が昇るためのステップが壁に取り付けられており、小さな棚も兼用になっている。お洒落感はあるが、飾るような小物も持っておらず、埃が溜まって掃除が面倒そうだ。との感想が先立ってしまうのは性格か。他にも、猫用の階段や、パンフレットで見た網の足場も張り巡らされている。
「これって、掃除とかどうするんですか?」
「こちらの方にサービスで脚立が置いてあります」
 もう一つの部屋に通され、クローゼットの中から五段はある折り畳み式の脚立が出てきた。高過ぎないか。とは思ったが、恐らく監修した店長の身長が一六〇ほどだった事を思い出して納得する。
 隣室は人間用の寝室で、窓はバルコニーに通じる硝子戸一つあるのみ。真っ直ぐ洗面台がある脱衣所に行くための扉もついている。全ての扉に猫用の通用口があるのだと思っていたが、猫用の扉は寝室とリビングを繋ぐ扉だけだった。少しでも外への脱走を防止するためらしい。
 一つ一つを丁寧に説明して貰い、特別悪い部分は見当たらなかった。前の部屋の狭過ぎる洗面室だとか、窮屈な風呂やトイレよりも断然こちらの方が良い。本当に鳥の巣のような狭さで風呂トイレ別を選んだ俺が悪いんだが、脱衣所には洗濯機を置く場所もあり、新しく購入する事にはなるが、ずっとコインランドリーで面倒だったから、移動の手間がなくなるのはいい。
「もう一度お訊き致しますが、入居のお気持ちに変更はございませんか?後からの変更は承諾しかねますので」
「大丈夫です。あ、でも二階も見ていいですか?」
 家賃自体は然程変わらないが、天窓がどんな感じなのかも見ておきたかった。結局の所、天窓のあるなしだけで、ほぼ変わらなかったが、蓋もあって日光が入り過ぎる時は閉めておけるのは魅力だ。

 不動産屋に移動してから、必要事項を説明されて契約を交わし、不動産屋を出て、その足で今住んでいるアパートの解約をした後、紹介された引っ越し業者に電話。全てを一気に終わらせて疲労困憊になり、猫カフェに行くと今日も忙しそうだった。移動移動で疲れたから癒されたかったんだが、上手くいかないものだ。
 それに、女性客と楽しそうに会話をしているジャンに腹が立った。仕事だから仕方がない。猫の時はべたべた触られてこねくり回されてるんだろうし、俺だってヒッチと良く喋るし。と、考えても胸にもやもやが溜まっていく。
 店に入り、カウンターに座れば配膳と接客が終わったらしいジャンが直ぐ様、俺に寄ってくる。なんとなく胸が空いた心地だ。
「内見どうだった?」
「問題はなさそうだったから、引っ越しも頼んできた」
 相変わらず、無言で出される紅茶を飲み、口を潤して告げればジャンは驚いたようだった。
「急だな。荷物はどうする?」
「俺の予定が空いてる三日後くらいに頼んだから服とかは段ボールに詰め込みまくって、大物は業者がしてくれるらしいからお任せ、んで、当日は俺が立ち会うから、お前はちび達宜しくな」
 勝手に色々決めてきたから怒ると思いきや、ジャンは裏に入るとここで廃棄として出る紐で縛られた段ボールの束を持ってきた。
「これ持ってけよ」
「体のいいごみ処理だな」
 渡された段ボールの束を持って皮肉気に笑いながら言えば、同じく厭らしい笑みで有効活用。とだけ返ってきた。段ボールも買えば地味に高いから、助かりはするが。
 報告に来ただけであり、ごみを引き取ってくれたからと甘ったるい感謝を言われ、支払いを免除された俺は段ボール片手に住み慣れた家に帰る。

 仕方がないとはいえ、住み慣れた場所を離れるのは、少々物悲しさが付きまとう。

   ◆ ◇ ◆ ◇

 日常生活と引っ越し準備をやっていれば、あっという間に引っ越しの当日。
 店長の言う通り、対応が迅速でてきぱきとベッドなどの大物を解体、梱包し、小さめの棚なども瞬く間に姿が消え、小さいが重量がある冷蔵庫もトラックに詰め込まれて運ばれていく。
 ここに住みだした時は、親が小さなトラックを借りて運んでくれたため、完全に人任せと言うのも新鮮だった。

 そしてここからが重要で、退去時に色々言われたり、請求されないようにするために掃除を頑張らなくてはならない。
 狭いからすぐ終わるとは思うが。

 何もなくなったがらんどうの部屋に戻り、掃除をしているとジャンが帰ってきて感慨深そうに『何もなくなったな』と、言った。
 手には何やら道具をぶら下げている。
「リヴァイさんに色々借りて来たから、掃除頑張ろうな」
「ちび達は?」
 掃除道具は持っているが、一番大事な仔猫達を連れ帰って来ていない。聞けば、掃除の際にちょろちょろされては危ない上に、洗剤の悪影響が怖いため、一日だけ店で預かって貰ったそうだった。
 仔猫達も、ペースト状の食事であれば食べれるようになり、排泄も自力で出来るようになってきたためそう苦労はかけないだろう。何より、店であれば先輩猫は沢山居る。何か手土産を持って行こうか話しつつ、床だけでなく壁からクローゼットの中、台所、浴室、トイレと掃除をしていけば見違えるように綺麗になっていく。
 住んで一年ほど、俺は煙草も吸わないし、それほど汚れていないだろうと考えていたが、やってみればなかなかどうして、水は真っ黒になって何度も取り換えたし、窓のサッシにも案外埃や猫の毛が溜まっており、浴室も丁寧に掃除してみれば案外黴や水垢がこびりついているものだと判った。
 何より驚いたのはジャンの掃除の手際の良さで、店で叩き込まれているのだ。と、遠い目をした。猫の癖に潔癖なのかあの店長は。

 掃除が終わる頃にはとっぷりと日が暮れ、道具を持って電車に乗りながら疲れを息と共に吐き出し、新しい家に帰る。当然ながら、段ボールの開封も終わっておらず、棚類、ベッドや冷蔵庫のみ引っ越し業者の恩情にて設置されているだけだ。
「風呂、まぁまぁ広かったけど一緒入るか?」
「そうだなー、待ってる間に寝そう」
 体に付着した埃と中々の重労働にかいた汗。体格のいい野郎二人で風呂と言うのも妙な絵面ではあるが、待っている間が面倒過ぎる。
「あ、猫で入れ猫で」
「でもそれ、お前に洗って貰わないといけなくなるぞ」
「いいから」
 首を傾げつつジャンが猫の姿になり、服の中から這い出て後ろ足で頭を掻いていた。なんだか品が無く感じたから言わなかったが、人間のまま入ると、うっかり欲情しかねない。
「おー、結構広い」
 猫でいるため余計に広く見えるのだろう脱衣所。
 ここに帰宅した際もそうだったが、物珍し気にあちらこちらを見て回るのは猫の習性なのか。気が済むまで待っていたら深夜になってしまいそうだったため、石鹸やシャンプー類を用意して服を脱ぎ、うろついて匂いを嗅いだり壁に頭を擦りつける事に忙しそうなジャンを抱き上げ浴室へ行く。
 浴槽に湯を溜めつつ全身を洗っているが、視界の端にやはりうろうろ調べ回っているジャンの姿があり、俺から飛んだ水飛沫で足を滑らせ、溜めている途中の浴槽へ落下して暴れていた。
「何やってんだお前」
「落ちてびっくりした……」
 全身びしょ濡れになったついでにシャンプーをつけて洗っていると、間抜けな姿を晒して解り易く落ち込むジャンが面白かった。
 股間や尻を手で洗ってやっていると、ふるふる震えるのは俺のせいか、俺のせいなんだろうな。こんな風にされると、猫相手に変な気分を起こしそうになる。そこまで行くと本気で危ない人間になりそうだったから、ジャンの体についた泡を流して程良く溜まった浴槽に浸かる。疲れた体に染み渡る温度だ。
「あー、気持ちいい……」
「うん」
 浴槽は寛げる程度には広く、ジャンは沈まないよう俺の腹の上に乗って湯に浸かっていた。猫って風呂嫌いの印象が先行していたがジャンは自分から入ってくれるので楽でいい。

 上がればお互いの毛をドライヤーで乾かし、ベッドに入る。
「段ボール開封は明日なー」
 猫のジャンを抱き締めながら宣言すれば、既に返事なく寝息を立てていた。乾かしている間もうとうとしていたから当然か。
 仔猫達が居ないから、いちゃつく好機とは思えど、疲れが先立ち俺もほどなくして眠り、なんだか幸せな夢を見たような気がした。

   ◆ ◇ ◆ ◇

 まだまともな家具もなく、朝食は適当な総菜パンで済ませ、ジャンを見送ると寝ぐせも直さず段ボールの開封作業に終始する。
 片付けている時も思ったが、案外捨てられずに溜めてしまっている物が多い。壊れた時計や、電池類、壊れた硝子系の物、スプレーや、飲料の缶類。要するに捨てるのが面倒なごみの数々。数が少なかったため、袋が少々勿体ない気もしたが、ここぞと捨て捲ればかなりすっきりした。これからは溜め込まないようにしよう。とは誓うが、どれだけ続くかは疑問だ。粗方、段ボールを開け、片付け終わると学校へ行く時間になり、重い腰を上げて歩いていく。
 今日は一コマだけだしアルバイトもないし、後は帰って適当に片付ける事にした。ぼんやり後ろ側に座ってと講義を受け、だらだら帰る。家が近いっていいな。

 引っ越しの喜びと面倒臭さを同時に味わいながらの片付け作業。
 食器や調理器具、調味料各種。ジャンが使うであろう物を優先的に台所に仕舞い、食器や本を出し終わると全ての段ボールが空になったため、手で千切っていれば丁度ジャンが仔猫と共に帰ってきた。 
 手には猫トイレの砂が入った袋と、新品の猫用のトイレが入った段ボールを手にしている。服は出て行った時とは違い、灰色の見慣れないパーカーを着ている。
「お帰り。着替えたのか?」
「ただいま。店長がくれたんだ、仔猫入れての移動がし易くなるぞ。ってさ。引っ越し祝いとか言ってた」
 そう言って荷物を置いたジャンが、俺にパーカーの腹の部分が袋状になっている様子を見せてきた。中には店で遊び疲れたのだろう仔猫達が心地良さげに眠っている。
「カンガルーみたいだな」
「うん、にゃんガルーパーカーって言うんだと」
 袖には猫の肉球を模した刺繍が施されており、聞くに、ジャンが着る大きさにはないそうだが、MやLサイズくらいならフードに猫耳がついているらしい。こいつは自前があるから必要ないな。
「腹の中に居ると落ち着くのか、結構良く寝てくれるんだよな。下手に動き回ったり、荷物持てないから大変だけど」
 胡坐を掻いて中を覗き込み、愛おし気に仔猫達を見詰めるジャンが可愛いな。と、感じて胸が締め付けられる心地になる。髭で、やたらでかくて、顔立ちはチンピラ風の服装でもしていれば避けたいほどの悪人面だが、可愛い。
「お前、手赤くなってるけど大丈夫か?」
 一緒に仔猫を覗き込んでいれば、ジャンが目敏く俺の手の状態を見咎める。段ボールを手で力任せに千切っていたため、親指と人差し指の間が擦れて真っ赤になっていたが、直ぐに治るだろうと痛みを我慢していた。
「言えばいいのに……」
 俺の手を取ると、ジャンは躊躇う事無く赤くなった部分に舌を這わせ出し、生暖かい湿った感触が肌をなぞっていく。
 擦れて過敏になった皮膚に、神経の集まっている手。ジャンにそんな意図はないと解っているが、ぞわぞわと煽られていき、下半身に熱が籠ってくる。
「まだ痛いか?」
 右手が終われば左手を舐め、赤い部分が消えるとジャンが訊いてくるが、俺はそれどころじゃない。
「ジャン、万歳」
「ん?」
 ジャンは素直に両手を上げ、俺がパーカーを脱がせると少しばかり驚いたようだが、見えた俺の股間に納得したようだった。
 仔猫を部屋の隅に寝かせ、ジャンを連れて寝室へ。起きたにしても、まだ猫用の通用口を押し開ける力はないから大丈夫だ。

「なんかごめん」
「別に」
 去勢を受け、性欲が極端に薄くなっているジャンに、理解しろと言う方が難しいだろう。どちらにせよ、拒絶はしないし、俺の髪を撫でてくれる手は心地好い。性急に孔を濡らし、指で刺激すればジャンは身をよじらせ熱の籠った吐息を吐く。精を出さない性器も緩く立ち上がり、濡れた孔はひくついて俺を待っているようだった。
 張った胸部を愛撫し、乳首に舌を這わせてしつこく吸う。仔猫にも吸わせてるし、最近また大きくなった気がする。
 そのせいか、遠くない内に母乳でも出そうな気がしてくる。搾乳プレイ。悪くないな。良からぬ妄想に耽りながらジャンの胸を撫で回し、時に吸う。次第に、弄り回す楽しさよりも発散したい欲が我慢の限界に達し、性器をジャンの中へ押し込んで腰を揺らした。
 熱く、性器を嘗め回すように吸い付いてくるジャンの体内で味わう極上の心地。興奮は際限なく昂ぶり、物欲しげにつん。と、立った乳首を指で弄ってやれば中が締まり、ジャンは背を反らせ、声を上げて悶える。
 厭らしくて可愛いくて、このまま腹上死してもいいくらいには幸せだが、ジャン独りではここを維持出来ないだろうし、この先、嫌な事もあれば、これ以上に幸せな瞬間も来るかもしれない。

「俺が死ぬまでは一緒に居ろよ?」
「それ、縁起でもないっていうんだろ……、長生きしろよ」
 見上げてくる蕩けた眼には非難と悲し気な光が宿り、ジャンは俺の頭を抱き締めてくる。そう易々と死ぬつもりはないが、先は解らなかったため返事はせず、抱き締め返すに止めて、深く口付けては愛でていく。

 願わくば、一秒でもこの時間が続きますように。  



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