忍者ブログ

馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

幼い思慕

・モブジャン
・モブレ未遂
・原作(エレンとジャンぽくぽく後妄想
・ほんのりリヴァ←ジャン





 エレンとの仕様もない喧嘩でリヴァイ兵長から制裁を食らい、床に吐き散らかした後、先輩が医務室へと俺を連れて来てくれた。
 重いだろう俺を背負い、痛かったな。兵長って容赦ないからなぁ。なんて雑談をしつつ労わってくれる優しそうな先輩だった。が。
「少し赤くなってるなー。他に痛い所はないか?」
 ベッドに横たえられ、殴られた部分を診てくれる先輩は相変わらず笑顔ではあるものの、殴られた腹部のみならず、胸や脇腹まで触りだしたため、俺はほんの少しの違和感から薄気味悪さを抱き出した。
 それでもその内止めるだろうとの希望を抱き、嫌悪を感じつつも耐えていた俺の変化に気付いたのか、先輩の顔から笑みが消える。
 いや、笑ってはいるが、何と言えばいいのか興奮しているような気持ちの悪い表情だった。気味の悪い薄笑いがトロスト区で見た巨人と被り、俺はまた嘔吐きそうになって思わず口を押さえた。
「前から可愛いなぁって思ってたんだよ。今度、ウォールマリアの奪還作戦だろ?俺も君も、いつまで生き残ってるか判んないしさ、折角ベッドの上だし、思い出作りしないか」
「んー!」
 何も答えていないのに、勝手に服を脱がし始めた先輩に抵抗する。
「気持ちいい事するだけだよ。悪くない話だろ?」
 逃げようとして背後から覆い被され、体をまさぐられる。気持ち悪い。
「や、や、ですっ!」
「そんな事言うなよ。お前だってセックスも知らないで死ぬの嫌だろ?」
 こんな目に遭うくらいなら知らない方がましだ。そう叫ぼうとした瞬間、股間を握られ息が詰まった。先輩は、俺の性器をボトムの上から撫でて揉み、生暖かい荒くなった息を俺の耳に当ててくる。全てが気持ち悪い。
「な?気持ちいいだろ?大人しくしてれば悪いようにはしないからさ」
 急所を掴まれ、それでも尚、暴れられる男が居たら知りたい。
 体をべたべたと触られ、嫌悪と不快感ばかりが高まっていく。戦いを重ねていっぱしの兵士になった気分だったが、なんて体たらくだ。
「し、したく、ない、です……」
「なんで?」
 俺が受け入れると信じて疑わないような口調。
 どこからその自信が湧いてくるのか。
「どうせ死ぬんだ。生きてる内に愉しもうぜ」
 もしかしたら。から確定事項に。
 俺は死ぬ気なんかない。
 ほんの些細な立ち位置、行動が明暗を分け、一瞬で命が散らばってしまう様は何度も見てきたが、最初から諦めてこんな真似をしようなんて考えた事もない。こいつ最低だ。
 体の下で俺が抵抗を強くすれば、機嫌を損ねたのか薄ら笑いが一変。先輩は鼻に皺が寄るほどの不機嫌な表情を作り、俺の腕をねじり上げて来た。
「大人しくしてれば気持ち良くしてやるつってんだろ」
 痛みに呻く俺に向かって口調まで変えて脅してくる。
 力では勝てそうにない。ならばどうするか。
 力づくで抑え込まれる恐怖と、悍ましい欲を向けられる嫌悪と戦いながら、俺は必死に打開策を探す。

 息の調子が可笑しくなっていく。
 殴られた腹がじくじくと痛む。
 掴まれている腕も痛い。
 触る手が気持ち悪い。

 知らず零れた涙が頬を伝い、俺は奥歯を噛み締めた。
「大丈夫、俺に任せてればいい思いが出来るからな」
 圧し掛かられ、先輩が俺に股間を押し付けてきた際に否が応にも理解せざるを得ない膨れ上がったものが尻に触れ、怖気立つと共に酸味のある胃液が込み上げてくる。
 先程、胃の中の物は吐き尽くしてしまったため、出てくるのは唾くらいだ。吐き気に耐えて無理矢理、嚥下し、咳き込んでしまった。逃げたいのに逃げられない。
 絶望的な状況は幾らでも体験したが、こんなどうしようもない状況があっただろうか。俺一人では無理でも、誰か仲間が助けてくれた。あるいは助けてきた。しかし、今、ここに居るのは加害者と被害者のみ。皆、浮かれてこんな医務室になど来はしないだろう。最悪だ。
「そうそう、そうやって大人しくしてろよ」
 俺が必死で考え、逃げる算段をつけていると抵抗が止んだと思ったのか先輩が上機嫌に耳を舐め、全身が総毛立つ。次いで腕を解放され、腰のベルトを外そうとする音が聞こえだす。
 いっそ我慢していた方が被害が最小限に済むだろうか。命までは取られまい。もう、諦めの心地で蹲っていると、小さく悲鳴が聞こえ恐る恐ると顔を上げれば先輩の頭を鷲掴みにしたリヴァイ兵長が居た。
「どう見ても合意ではなさそうに見えたんだが、そう言うやり方なら悪かった」
 掴んだ先輩をちらりと見てから次にリヴァイ兵長は俺を見た。なんと言えばいいのだろう。ずるずるとベッドの隅に逃げながら二人の様子を観察した。
「そ、う、ですよ。やだなぁ……、こいつがちょっと強引なくらいがいいって言うもんですから」
 大嘘もいい所だ。
 べたべた触った挙句に圧し掛かって来た癖に。
「大事な作戦の前に愉しむのが駄目とは言わないが……」
「俺は愉しんでません!」
 衣服を整え、ぎ。と、先輩を睨む。
「そうか、大きな作戦の前に懲罰房行きになる馬鹿が出るとはな」
 リヴァイ兵長は掴んだ先輩の頭をベッドに押し付け、冷めた眼付きで見据えた。
「少し待っていろ」
 先輩を引き摺るように連れて行くリヴァイ兵長の姿を見送り、安堵の吐息と共に俺はベッドに倒れた。もしも来て貰えなかったら。想像するだけでも大きく体が震え、具合が悪くなってくる。
 極度の緊張状態から解放されたせいか、うとうとと瞼が下がりだす。恐らくリヴァイ兵長は戻ってくるはずだ。寝てる場合じゃない。そう思いながらも徐々に意識が混濁し、瞼が鉛のように重く落ちて結局眠ってしまった。

 誰かに体を触られる感触で目覚め、起きるとリヴァイ兵長が目の前に居て心臓が縮み上がった。
「起こしたか。悪かった」
 手に持った布団を見て、状況を察する。
 戻ってきた際に、気絶するように寝入ってしまった俺を見かねて寝る体制にした後、布団をかけてくれようとしたんだろう。眠っていたのは大した時間ではなさそうだ。
「い、いえ、あの、ありがとうございました!」
 飛び起きてベッドの上で俺は深々と頭を下げた。
「兵長が来てくれなかったら……、俺……」
「もっと抵抗しろ。と、言いたい所だが、お前は人を殺す事にも直前まで苦しんでたような馬鹿だからな……」
 さく。と、心に突き刺さるような事を平気で言うリヴァイ兵長に俺は項垂れるしかない。
「お前は臆病だし優し過ぎる。本当は暴力だらけの兵士なんか向いてないんだろうな」
 臆病と評されはしても、優し過ぎるなんて言われたのは初めてで、目をぱちりと瞬かせ、顔を上げると珍しく笑っているリヴァイ兵長と目が合った。
「こんな糞みたいな世界じゃなけりゃ、餓鬼共にも、もっと選択肢があっただろうにな」
 ごつごつとしたタコだらけの歴戦の勇士らしい手が俺の頭を撫でる。俺だけではなく、新兵の皆も含めて言っているようだった。巨人が居なければ、壁に閉じ込められた世界でなければ、もっと違う生き方もあっただろうと。
「確かにそう思う事もなくはないですが、少なくても自分が信じたものを選びながら生きてます。俺……、自分の選んだ道を後悔してません」
「そうか。ならいい」
 頭を撫でた後は、俺の目元を指で擦ってから穏やかな表情になり、ゆっくり休め。そう言ってから医務室を出て行った。

 俺はベッドから降り、入り口付近にかけられていた鏡を覗き込むと、泣いたせいか目元が赤くなっていた。これを撫でてくれたらしい。
 潔癖症のあの人が。 

 急に胸がどきどきし出して、体の体温が上がって行った。
 忙しなく動き出した胸を押さえてベッドに潜り込み、ランプを消しては見たものの、胸の鼓動が収まらず、妙に目が冴えて眠り辛い夜になってしまった。

拍手

PR