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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

寒い日の闖入者=その五=

・フロジャン、仔猫を育てるの巻
・ちょっとだけ真面目に悩んだりするけど直ぐ有耶無耶
・ヒッチが良く出る。
・少しだけ猫の排泄描写があります





 空気は冷たいが、雲一つなく晴れ渡った空が広がる休日。朝からのお出かけ日和ではあれど、俺はベッドから抜け出せないでいた。

 自分のくしゃみで目が覚め、ぼんやり目を開ければジャンが俺に跨り腰を振っていた。状況が咄嗟に理解出来ず、下半身から込み上げてくる感覚に奥歯を噛み締めるばかり。
「勃ってたからしたいのかと思って?」
 俺がじっと見詰めていれば、ジャンは小首を傾げている。
 ただの朝立ちだ。性欲は関係ない。しかし、人間特有の生理現象をどう説明すればいいのか、やはり悩んでしまう。
「愛し合うって、お互いが嬉しくなる事するんだろ?だから……」
 うっとり微笑みながらこんな事を言われて、胸がときめかない奴が居たらどんな無神経人間だろう。上体を起こし、その勢いでジャンを押し倒して寝起きに頑張る俺。

 愛し合うのはお互いに嬉しくなる事。
 いい事言うな。単純だが単純故に解り易く響き易い。
「じゃあ、たっぷり愛し合うか」
 俺がそう言えば、ジャンは目を細め、愛おし気な眼差しを向けてくる。本当にこいつは俺を煽るのが上手い。
 人間ではないが故に羞恥などは皆無で、快楽を得るために自ら積極的動く姿。腕の中にある白く滑らかな肌が色づき、寒いはずなのに汗ばんで、気持ちいい。と、瞳を潤ませる。揺れるくびれた腰に、そこから延びる長い脚が絡みつく。
 これはベッドから出れなくても仕方がない。
「ふろっく、もっと一杯撫でて……」
 髪でも肌でも、俺の唇や、手による愛撫を嬉しそうに受け入れ、栄養が良くとれているのか最近むっちりしてきた胸に顔を埋めながらベッドを軋ませる。
「ふろっく……」
 ジャンが俺にしがみつき、びくびく体を震わせてから力を抜く。
 性器から精液は出ていない。睾丸がないのだから出ないのは当然だが、様子から見て中の刺激で達したんだろう。と、思うと口元が緩む。達したことでジャンの腹の中が蠢き、俺の性器に絡みついて精液を欲しがってるみたいだった。実に厭らしくて結構だ。

 じ。と、耐えて少しでも長く愉しめるよう尽力する。
 ジャンもそっちの方が悦ぶし。
 その間、腰は動かさないが胸を揉んだり吸ったりして遊ぶ。その内、おっぱいが出るんじゃないか。と、思えるほど乳首が立って、胸の感触が良くなってきた。俺好み。
「あ、あっ、ん、あ……、ふろっく」
 律動を再開すれば甘ったれた声で俺を呼び、嬉しそうに蕩けた表情を見せ、ジャン自ら口付けてきて、ぬるぬる舌を絡め合いながら、互いに抱き締めて肌を合わせる。可愛くて可愛くて堪らない。
 俺も元気になろうと言うものだ。
「絶対他の奴とはこう言う事するなよ」
「わかった、ふろっくいがいとしない」
 猫の生態を調べている際に知った事。
 発情期に入った猫は子孫を残す本能に従い、不特定多数の相手と仔作りをするそうで、雌猫の腹の中には複数の雄猫の精液が着床し、同じ腹から同じ時間に生まれていながら父親は別の子猫が生まれる。
 ジャンは仔を産まないが、性行為の気持ち良さを知って、他の誰かに誘われて安易についていく可能性は否めない。だから、きちんと躾ておかねば。猫に人間の貞操観念を求めてはいけない。人間だって軽々には信じられないのに。
「ふろっくとするのが、うれしいから」
 どこか舌足らずに喋りながら、ジャンが俺に微笑みかけ、指で髪を梳きながら抱き締めてくる。最高に気持ちいい。身震いをしてジャンの中に精を吐き出し、抜かないまま蓋をしてしつこく中に塗り込んでいく。その間も、ジャンは善がっていて可愛い。
 春先だし、多少なりとは発情の兆しが残っているのかも知れない。

 朝食も取らずに、朝っぱらからベッドの中で遊び、時間を潰していく。堕落しているようであり、最高の始まりのようでもあった。

 朝にジャンと睦み合い、アルバイトへ行く姿を見送ってから昼も過ぎた頃、課題にも飽きて俺は床に伸びていた。無駄にスマートフォンを弄って、特別したくもないゲームで時間を潰す。
 三十分ほどでゲームを終了させ、無為な浪費に逆に疲れて大欠伸。
「ジャン大丈夫かな」
 抱かれる側は負担が大きいらしいし、朝からあんなに盛ってしまった。独り言を呟いてから出かける支度をし、電車の定期券を使ってジャンの働く猫カフェまで行く。

 小柄な男性店員が、お茶を淹れているのかポットから丁寧に湯を注いでいる様子は見えたが、硝子越しにジャンの姿は見えない。
「すいません、男一人ですけど大丈夫ですか?」
「どうぞ」
 言葉短に告げられ、あまり客が居ない店内へと入る。
「あ……」
「どうかなさいましたか?」
 外からは解らなかったが、小柄な店員の男性は非常に目つきが悪く、下手を打てば堅気にはとても見えない。
 三毛猫柄の可愛いエプロンは全く似合っておらず、恐怖が先だったが俺の視線は床に転がり、腹を見せながらぷすぷす寝息を立てている猫姿のジャンに注がれていた。
「えっと、可愛いですね?」
 いつも見ているのだから、今更の姿で珍しくはないが、可愛いとは思う。正直に言えば、『うちのは可愛い奴しか居ないから当然ですよ』と、淡々とはしつつも自慢としか思えない言葉が返ってきた。見た目は兎も角として、猫カフェで働いているくらいだ。猫好きないい人なのかも知れない。
「入店の際にはワンドリンクを注文をして戴く決まりになっているのですが、宜しいでしょうか?」
「あ、大丈夫です」
 ただの様子見だったが、問題なさそうな様子を見れたのだから多少の出費は構わないか。
 家では毎日ジャンが淹れてくれるため、メニューに『お勧め』と、書いてある紅茶は見ない振り。カウンターに座ってオレンジジュースを頼み、店内の猫を観察してみれば、際立って目立つのは元気にボールで遊んでいる茶色い猫。首にスカーフを巻いて気取っている様子で客に構われている灰茶の縞猫。皆を見守るようにキャットタワーの上から腕を組むようなポーズで佇んでいる真っ黒な猫。お兄ちゃん気質なのか小さい猫と遊んでやっているらしい金茶の猫。
 ジャンと共に暮らすまで、猫など皆同じと考えていたが、こうしてみると各々個性があるものだ。
「結構小さい仔も居るんですね?」
「こう言うとなんですが、わざわざ店の前に捨てていく人も多いので、ここの猫は捨てられたり故あって引き取った保護猫ばかりです」
「あー……」
 カウンター内に居る店員と話していれば、猫のけたたましい鳴き声が響き、何事かと視線をやれば、カーテンにぶら下がった黒猫が鳴いていた。まだ小柄で若そうだ。
「またか……」
 目つきの悪い店員は溜息を吐き、優しくカーテンにぶら下がった仔猫を下ろすと、その下で心配そうに見上げていた同じくらいの大きさで、赤いリボンを巻いた仔猫の傍に置いていた。が、仔猫は一切懲りていないのか、果敢にカーテンに飛び移り、わしわしと登り、再び同じ地点で鳴いて店員に下ろされていた。
 同じ仔猫でも、我関せずで大人の金茶の猫と遊んでいた灰色猫が急に倒れ、俺はぎょっとする。しかし、店員は慌てる事無く灰色の猫を抱き上げてベッドへと置いた。
「大丈夫なんですか?急にがくって……」
「ただ体力が尽きて寝てしまっただけなので心配はご無用です。仔猫には良くある事なので」
 自分の体力の限界を知らずにはしゃぎ倒し、驚くほどの速さで眠ってしまうのは猫でも良くあるらしい。他にも大人しい金色で毛足の長い猫が、裏から眠そうな顔をして出てきて、隣に寄り添うように対照的に短毛で白地に黒毛がまだらに散った猫が出てきた。
 大人が四匹、そこそこ大きいが仔猫が五匹と化け猫一匹。あまり広いとは言えない店内で、かなりの大所帯だ。
「今日はお一人なんですか?」
「従業員が一人居るんですが、今日は動き回る仕事が然程なかったので休ませてます」
 寝返りを打ち、未だ寝こけてサービス精神皆無のジャンを眺めながら随分いい職場だと羨ましくなる。猫は可愛いのが仕事。とは良く言ったものだ。
「あれ?もしかして、貴方が店長さんなんですか?」
 従業員が一人。
 それはジャンだろう。
 ではこの人は。と、考えれば自然と導き出された答え。
「えぇ、僭越ながらここで店長をやらせて頂いてます」
 見た目は怖いのに謙虚な人だな。
 店長と言う事は、経営者は別なのか。
 あぁ、そうだ。化け猫なら戸籍がないのだから名義登録自体が出来ず、店を持つには人間の手が必要になって当然だ。
「ジャンと同じ」
「あ?」
 ジャンから聞いた『店長も化け猫』の、情報を思い出し、ぽろ。と、口を突いて出た言葉に反応し、店長の声は威嚇するような低い音声に変わった。
「お前が飼い主か……」
 先程まで丁寧だった言葉遣いは消え失せ、他に客にも聞こえたのか、猫と遊ぶ手を止めて俺達を恐々と眺めていた。
「失礼しました。お気になさらず猫との交流をお楽しみ下さい」
 今更のような張り付けた営業スマイルを見せられても逆に怖い。
 店長は裏に回り、硬直していた俺はいつの間にか起きていたジャンが足に擦り寄って来てくれたため、やっと動けるようになった。
「お、おはよう?」
 俺が声をかけると嬉しそうに、なんなん鳴いて膝の上に載ると喉を鳴らしながら甘えてくる。流石にここでは喋らないか。
 ジャンがあまりにも俺に甘えるせいか、他の客も落ち着いたのか猫と戯れる事に集中し出したようだ。
「おやつ食うか?」
 メニューに書かれていたオプションでつけられる『猫のおやつ』の項目を見て提案してみれば、ジャンは尻尾を立ててにゃああああああ。と、耳元で叫ぶものだから煩い。
「どうぞ」
 気配なく裏から出てきた店長がおやつが入った小さな籠を差し出し、選ぶように言ってきた。驚くのも馬鹿らしくなり、ジャンが自ら選んで取り出したちゅーるを先端から出しながら食べさせる。
 こうしてると無心になれる。ジャンの器用にぺろぺろと動く舌を見て、けしからぬ事などは考えていない。この長い舌で俺のを舐めてたんだな。とか。朝可愛かったな。とか。

 ちゅーるの中身を食べ切ってもジャンは袋を噛み続け、俺が『もうないって』そう言っても手を伸ばして奪おうとする。人間の姿で幸せそうに吸って居た時は見なかった光景だ。
「さて、話でもしようか」
 他の客が居なくなった頃を見計らい、店長が店の入り口に『Close』の札を下げ、歩道から見える硝子の壁にロールカーテンを下ろし、俺の隣に座った。食い殺されたりしないだろうか。
「ジャンが最初ここに来た時、飼い主に働けと言われた。お金を持って帰らないと戻れない。そう言っていたが真実か?」
 金を持ってくるまで帰ってくるな。そんな非道な科白を言った覚えはなかったが、俺が適当に放言しまくった科白は、ジャンに歪んで伝わっていたようだ。
 しかし、よくよく思い返せばそう受け取れない事もない。
「そこまでは言ってないんですけど……」
「そうですよ。フロックはそんな事言ってません!」
「ジャン、お前には訊いてない。けどなんだ」
 俺を庇っているのか、膝に乗っていたジャンが声を張り上げてくれたが、ただの一睨みで瞬時に黙らされてしまう。ジャンがここに辿り着いた経緯は解らないが、店長からいい印象は持たれていない事実はありありと伝わってきた。これは下手に誤魔化すよりも、正直に話した方がいい気がする。

 ジャンが来たばかりの頃に考えていた事や、今の気持ちを訥々と話せば、店長は黙って聞いている。
「まぁ、なんて言ったらいいか、最初は、一時保護くらいのつもりでしたけど、今は大事って言うか……、そんな感じです。アルバイトの件も、本当にやるとは思ってなくて適当言ってただけで、深い意味はありませんでした」
 言うだけ言って、最後に要点を纏めると、店長は『そうか』としか言わない。納得したのかしてないのか、どちらの『そうか』なんだ。表情からは感情が全く読めなくてかなり怖い。
「碌でもねぇ奴なら半殺しにくらいはしてやろうと思っていたが、路頭に迷ったジャンを見捨てずに居た事だとか、他意がなかった事は解ったし、大事にされているのはジャンを見ていれば判る」
 ジャンが俺を庇うためか、ずっと膝の上に居て痺れているが、下手に動いたら本当に殺されそうでひたすら耐えていた。
「ジャンは情に絆され易いようだったからな、どんな奴か一度話してみたかったんだ……。困った事があれば相談に来るといい」
「最初は誤解してたけど、フロックは大丈夫ですって何度も言ったじゃありませんか……」
 ジャンがぶつぶつ文句を言い、俺の膝の上で溜息を吐いた。
 俺が不利な状態でも傍から離れようとしない辺りに愛情を感じて、頭を撫でていると帰宅を許されたジャンが人間の姿になり、着替えている間に店長が時給計算をして封筒に金を入れ、俺は必至で足の痺れを解していた。
「フロック、飯何がいい?」
「飯?作ってくれんならなんでもいいけど……、買い物行くか」
 店長はまだ作業が残っているようで、ジャンに給料が入った封筒を渡すと店の奥に引っ込んでいった。思わぬ疲労を吐き出し、日が沈み始めた空を見た。

   ◆ ◇ ◆ ◇

 スーパーで総菜を買い、夕食は気軽に済ませる事にして帰宅すると、ジャンが猫の姿になって俺に懐いてきた。
「おっかねぇなぁ、お前の雇い主」
「あれでも優しいんだぜ?いつも気にかけてくれるし、俺がお前に言われてから猫カフェ探してさ、偶々見つけたのがあそこだったんだけど、直ぐに人間に化けてる猫だって気づいたみたいで、凄く親身になってくれたんだ」
 あの目つきの悪さや愛想の悪さは猫だからと言うよりも、ジャンを見ていれば性格だと判る。
 ジャンの説明によれば、彼はほぼ人間として生きているため、猫の姿に戻る事は滅多になく、人間と一緒に夫婦として暮らしているそうだ。その点に於いても、ジャンの先輩と言えるだろうか。
「へー、連れ合いの人ってどんな人だ?」
「なんか研究職やってる人で、偶に店に来るんだけど、いつも頭ぼさぼさしてて、リヴァイさんに怒られてたなぁ。子供の頃から一緒で、俺がこいつの世話をしなければ。って十歳くらいで気合で化けたとか言ってた」
 気合でどうにかなるものなのか。
「それで猫カフェ?」
「うーん、聞いただけなんだけど……」
 何でも店長の連れ合い、名前はハンジらしい。その人が捨てられたり、ぼろぼろの動物を見つけると拾ってきてしまうそうで、下手を打てば多頭崩壊。店長は悩みに悩み、連れ合いの知人に相談して猫カフェを作るに至ったとの事だ。
「まぁ、増えた猫の世話も仕事として出来て、金も稼ぎつつ、飼い主探しも並行して出来るなら効率は良さそうだな」
「なんかハンジさんの知り合いの人が滅茶苦茶頭がいいんだって、社長さんで、他にも店をいっぱい持ってるらしいとか?」
 有能な人間って凄いな。
 俺の知る常識の範囲内では、猫が人間に化けれて喋れるからと言って、有効活用出来ないだろう。そもそも不可解な生き物過ぎて受け付ける人間の方が少ないに違いない。俺も、苛ついていたり、異様なほど恐怖に駆られるなど、間が悪ければ気味悪がって瞬時にジャンを叩き出していた可能性も否定はしない。
「よし、風呂行くか」
 揚げ物だらけの総菜を食べ切り、俺の膝の上でうとうとしていたジャンを起こして風呂へ行く。流石に、今日はゆっくり寝ようと思う。

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