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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

遊楽=仲良く遊びましょ=その三

【遊楽】
・やりながらのしょうもないぐだぐだ話



   【遊楽】
「俺の勝ちだな」
 にたりと笑って言ってやれば、隣には悔しそうに歯噛みするジャンの表情。『lose』と書かれた画面を睨み付ける顔を肩ごと引き寄せ、口付けてやる。
「くっそ……」
「口を拭くな、傷つくだろ」
 唇を手の甲で擦るジャンを肘で小突く。
 恋人に口付けられて、拭くとはどう言う了見だ。
「お前、これ苦手なはずだろ!」
 俺の文句を無視してジャンが吠える。
 格闘ゲームでの対戦、確かに俺はこれが苦手だ。
 しかし、苦手なりに練習をしたり、ジャンの癖を見てどうにか勝っている。勝てる理由はもう一つありそうだが。
 今は同棲を初めて約半年ほど経った秋の季節。
 入学間際に出来得るだけ大学に近く、防音性の高い鉄筋造りのマンションの一部屋を借りて、狭いながらも楽しい我が家を地で行く暮らしをしていた。
 ジャンの要望に従い、内見の際には台所を重視して、お風呂はいっそシャワーだけでもいい。と、妥協点を作り、いびきが煩かったら外に叩き出すからな。などと言い合い、寝床をどうするか協議して、不動産屋の従業員に苦笑されながら決めた部屋。
 ダイニングが一つ、広めの台所と、狭いが浴槽付きの風呂、トイレ別、小部屋が一つ、押し入れ一つ。小さいながらも洗濯物を干すためのベランダあり。まぁまぁいい部屋が借りれたのではないかと思う。出来れば角部屋が良かったが、それだと予算を越えてしまうため、二階の真ん中辺りの部屋を借りた。偶に上の住人が跳ねているのか、走っているのかどんどんと聞こえる程度で、それなりに快適だ。
 そして共に暮らし初めて気付いた癖もあった。
 食料や生活日用品の細かい買い物が被ったり、扉の開け閉めの仕方、風呂上りに水滴を落として回るな、髪はきちんと乾かせ枕やベッドに黴生える。物は丁寧に扱え、使ってほったらかしにするな。整理しろ、等々。お互いにちくちく注意し合い、小さな喧嘩はあるが、概ね関係は良好と言える。
 ゲームの実況に関しても、生活が落ち着いた頃に再開すれば、以前と比べてファン層が顕著に変わった。
 例の騒動以来、離れる者は離れ、再開してからは新しく見始めてくれた人も居た。それが何と言うか、『ふじょし』などと言うもので、俺達で妙な妄想をしている人達らしい。意味を調べてみたけど、要するにボーイズラブ的なものが好きな人達だそうだ。実際に付き合っている俺達は格好の獲物なんだろうか?あの生放送の教訓から、実況中に可笑しな行動はしていないはずなんだが噂が噂を呼び、どこからか聞きつけてくるらしい。
 それに、事実であるため何とも言えないが、各所でホモ実況者呼ばわりされ、相変わらず俺に対してあれこれ言う奴も居たし、ジャンに対しても変な事を言う奴も居る。そいつらは元々、俺のファンだったらしいが面倒な事だ。アンチって奴かな。
 アンチの活動が活発な事もあり、余計な炎上を避けるため、動画投稿は荒らし対策も兼ねて、画面にコメントが流れない方の投稿サイトに移行して一通り無視を決め、動画の再生数に応じて貰える広告費で小遣い稼ぎもしつつ、のんびりやる事になった。まぁ、アンチにしろ『ふじょし』にしろ、動画を見て広告費をくれる人には変わりないので放置している。
 先人の諸々を見て、反面教師として顔出しや、住んでいる住所が判るようなものは出さないように気を付けているため、実生活に影響はあまりない。実況している事を知っているのも、本当に一握りの身近な人達だけであるため、大した問題もない。
 ジャンの親友であるマルコには、あの炎上以来、かなり睨まれているが。故に気が引き締まって気を付けていられるとも言える。
「フロック、あともう一回やらねぇ?」
「何回しても無駄だろ。俺はちゃんと三回付き合ってやったぞ」
 明日は日曜日で大学はない。
 お互いに朝からのアルバイトも入っていない。夕食も終わって、風呂も入った。これ以上、何を足掻こうと言うのか。
「大体、お前、条件つけるとまじで弱くなるんだから、何だかんだ理由つけて抱かれたいんじゃねぇの?」
 俺から夜のお誘いをして、ジャンが今度は俺が上になるからな!と、意気込んでの勝負。いつも抱かれて啼かされているのが気に食わないらしい。言葉の上では。
 負けたらどうしよう。と、最初はひやりとしたが、勝負となると結局ジャンは負ける。いつも得意なはずのゲームでも負ける。要は言葉では抗って見せても、実際は抱かれたいから無意識に負けようとするんじゃないか?そう、指摘してやれば歯噛みして睨み付けてくる。
 違う。なんて主張しても、どっちにしろ抱くんだからいいけど。
「ま、何にせよ、お前の負けな」
 牙を剥く犬のような表情になっているジャンを床に押し倒して服を剥き、寝巻のズボンを足から抜くと、引き締まった艶めかしい長い脚が出てきて、それだけで興奮していれば顔を蹴られた。
「いって……!いつも優しくしてるのに何が不満なんだよ」
 大して痛くもないのに思わず声を上げ、蹴られた顎を摩りながら訊いても、ふい。と、顔を横に向けて黙秘する。こうも素っ気なくされると、諸々の自信がなくなってくる。
 優しくされると腹立つんだろうか。
 男としての矜持が傷つくとか。
 もしや、それ以前の問題で、俺って下手?満足してないのか。
 孔をワセリンで濡らしながら悩んでみつつ、臨戦態勢になった性器を中へ押し込めば、ジャンの体がぶるりと震え、短く吐いた吐息は淫靡な響きが灯り、俄然、気分は盛り上がる。
 感じてる表情や、声、吐息、体の動き、全てが余す事なく見れるから正常位を俺は好んでやるが、ジャンはそうではないらしい。している最中は、良く顔を隠したり、目を合わせようとしない。尻の孔まで見てる関係で、何を今更、見られたくないのか。
 腰の下にクッションを敷き、支え易いようにしてから根本まで押し込み、ぐりぐりと動かせば、ジャンが床に敷いてるカーペットを引っ掻いて身悶えた。口は素直とは言い難いが、体は顕著に反応を示してくれる。良くエロ漫画で見る『体は素直だな』状態だ。でも、万が一、これが演技だったら?
 下らない発想が浮かんで、即否定する。実況でキャラクターの科白を読む際のジャンは、棒読みも甚だしく、淡々と読んでいるだけで演技は苦手なようだと思い出したからだ。
 思考を他所にやりながらの性行為など、長く続く訳もなく、楽しさも半減して早々に終わってしまった。気持ちいいけれども、虚無感が付きまとう。ただでさえ回数が熟せる。あるいは長く持つ訳でもないので損した気分になりながら、やっぱり悩む。
 直接、不満を言われた事はないが、実はもっと激しいのがいいとか。物足りないとか。
 下手過ぎて恋人との性行為に満足出来ないから、体だけの浮気をする。体の相性は重要だとか、そんな話も知人から聞いた覚えがある。自らの想像に打ちのめされ、俺の体の下から抜け出そうとしていたジャンの体に縋りついて、眉を顰められてしまった。
 恋人でない内から取られたくない。隣に居れる場所が欲しいと渇望していたのに、相手が女でも男でも、体だけでも浮気は嫌だ。
「な、なん?フロック、どうした……?」
 勝手な想像で勝手に傷ついて泣き出した俺に、ジャンがぎょっと目を瞠って手を伸ばしてくる。
「なー、俺とすんの物足りねぇの?下手?浮気とかしたいのか?」
「はっ?急に何の話だよ」
 出した後とは言え、少なくとも突っ込んだままする話ではない。
 俺が身じろぐと、中に入った性器を動いて、ジャンの足が痙攣するように跳ね、きゅっと口が閉じた。眉間に皺を寄せながら、考えているような、ないような。ジャンの体内から性器をゆるりと引き抜いて、後始末もせずに乗っかったまま愚図る。
 俺はイったけどジャンはまだ。
 でも、そのまま終わろうとした。
 気持ち良くないんだろうか。
 いかん、また泣けてきた。
「何で急に泣くんだよ。俺が居たたまれねぇ気分になんだろうが……」
「う……、だって……」
「浮気とかする訳ねぇだろ馬鹿」
 ぐすぐす鼻を鳴らしている俺の頭をジャンが撫で、落ち着くように促してくれる。こう言う所は、こいつの方が大人だと思う。
「だって、こうやってさせてはくれるけど、お前の口から俺が好きとか聞いた事ねぇし……」
 これに関しては、俺も人の事は言えないのだが、自分を棚に上げてジャンを責めてしまう。言葉も体も欲しいって我儘だな。とは言ってから気付いたが、後の祭りだ。
 ジャンからは拳骨で頭を殴られた。今度は本当に痛い。
「俺は好きでもねぇ奴に股開くほど尻軽じゃねぇよ」
 そんな潔癖さはがあるとは知っている。だが、じっとジャンを見詰めていると、また目を逸らされた。
「じゃあ、目逸らすんだよ……、したい。つっても無視して寝たふりしてる時もあるし。そんなに俺とすんの嫌なのかなとか思うだろ……」
 性格故に浮気は出来ずとも、やはり、色んなものが足りないのだろうか。俺を慮って言えないから視線を合わせようとしないのか。
「俺さ、お前と一緒に居れて幸せだって本気で思ってるぞ。飯美味いし、何だかんだ言って優しいし、普段は格好いいな。って思うけど、やってる時はマジで可愛いの知ってんの俺だけだって思うとめちゃくちゃ嬉しくなる。俺だけか?」
 十九歳になってやっと生えだした髭を喜々として整えている姿も、俺の下で啼いてる時の髭面が、本気で可愛いと思う程度には落ちてる。性欲もあるが、抱きたいのはそれだけが理由ではないと懸命に伝える。だから目を合わせて話して欲しい。
「お前、んな事考えてたのかよ……」
 俺が言葉を重ねるほど、じわじわジャンの肌が赤く染まっていく。
「うん、えろいし可愛い。奥擦ったらびくびく腰揺れて、俺で感じてくれてんだな。ってのも嬉しい。お前の目とか見ながらしたいし、いつも声抑えようとするけど、感じてるなら出してくれるともっとやる気出る」
「やる気出されると俺が死ぬから、勘弁……」
 正直、やる気はいつでもあるんだけど。などと思いつつ、要望を伝えてみると意外な答えが返ってきた。
「物足りなくねぇの?」
「足り過ぎてしんどいくらいだよ。お前、早漏で一回は短い癖に、毎日みたいにしたがるだろ……、自分で気付いてねぇのかよ……、けつ壊れるっつの」
 早漏とはっきり言われて、心の柔らかい部分にさっくり突き刺さった。流石にこれは事実でも傷つく。が、聞き捨てならない科白も聞こえた。
「そうだっけ?」
「お前の飼育係兼オナホにでもなった気分」
 酷い言い様だ。
「あと、お前の目って言うか、もう、なんか、俺を見てる時のきらきらうるうるしてる感じが、見てるとこっぱずかしいって言うか……、犬っころみたいな……」
「犬ぅ?それで飼育係かよ」
 食事関係はほぼ任せっきりなので、世話している感覚は強ち間違いでもなさそうだが、そんな風に思われていたとは心外で、性具扱いに感じるほど頻繁に求めていたつもりも俺にはなかった。
 ジャンにあやされるような形で、胸元に頭を乗せてお互いの考えを確認していく。こう言う所も愛玩動物っぽいと思われているのか。
「大体、二日に一回くらいが普通じゃねぇの?オナニーとかは毎日すんだろ?」
「俺は三日か四日に一回抜けば満足……、かな……」
 出来れば俺は毎日したいくらいなのだが、ジャンにとっては単純に考えても倍の回数で、更に言えばすっきりさせるだけでなく、行為で体に負担がかかり、体力も持っていかれてしまうため、疲れが蓄積して疲労で一日中眠い事もあったと教えられた。
 お前は早いからありがたいけど。
 傷に塩塗り込むが如く更に被せて。早漏は男にとって不名誉な称号ではないのか。
「するのは嫌じゃねぇから……」
「嫌じゃねぇの?」
 しっかり訊き直してみればジャンは頷く。
 嫌じゃないのか。そうか。
「だから、その顔!」
 急に怒鳴られて、べちんと音がするほど頬を両手で挟まれた。
 その顔。なんて言われても、鏡を見なければ自分の顔など見えない。ジャンの瞳に映る自分の顔を見てみようとしても、掌で目を覆われ隠されてしまった。
「どんだけ俺が好きなんだよお前……、んな目で見られると恥ずかしいんだよ」
「相変わらず面に似合わねぇ性格してんな」
「喧嘩売ってんのか……」
 要するに、俺がジャンを見詰める際の目が、雄弁過ぎて恥ずかしいと言っているのか。それで真っ直ぐに見返せず、逸らしてしまうと。
 『見詰められて恥ずかしいとかどこの生娘だ、お前は』そんな突っ込みを短く、えげつなく湾曲して伝えれば、今度は両手で頬を千切る勢いで引っ張られた。痛いけれど、嬉しい。言っておくがマゾヒストではない。ただ、目を逸らされる理由が、嫌い以外の理由だと判明したからだ。
「なー、頻度落とせば抱いていいのか?」
 ジャンが落ち着くのを待ってから、がっちりと逃がさないように足を絡ませ、つねられた頬を摩りつつ訊いてみる。相変わらず視線は右往左往して真っ直ぐ俺を見ようとしないが。
「考えとく……」
「今返事が欲しい」
 頬の痛みも直ぐに引き、性交で上がった体温、浮いた汗も冷えて肌寒くなり始めた。
 ジャンから体温を奪うように、補うように身を寄せる。寒いのならば早く風呂に入り、性交の残滓を洗い流して寝てしまえば良い。頭では理解していても、俺はごねる子供のようにジャンから答えを引き出そうとする。
「なぁ、ジャン、俺とするのは嫌じゃないし、お前も俺としたいって事でいいんだよな?」
 なぁなぁ、なぁなぁ。発情期の猫のようになぁ。を連発し、決して嫌がられているのではないと確認したがる俺を、鬱陶しそうな目でジャンは見た。
「それでいいけど、まじで連日やられるときついから、お前もちょっと経験してみろ阿保」
「分かったって、控えるし気を付けるから、でも、こうやってくっつくくらいならいいか?な?」
 経験すれば辛さも解るだろうとの意図だったのか。抱く側になりたいとのジャンの真意は完全には測れないものの、わだかまっていた原因を払拭する言葉を聞けて心底、安堵して懐く。
「何もしないなら……」
「お前って性欲ねぇの?」
「ないとは言わねぇけどさぁ……」
 自分を基準に考えればジャンの欲のなさは有り得ない。どうしたらこんなに淡泊になれるのだろうか。謎過ぎる。
「もう、けつ気持ち悪いし、風呂行きてぇんだが……」
 話し合いは終わったとばかりにジャンが俺の下から抜け出そうとする。
「洗いっことかするか?」
「餓鬼かよ……、一人で入るに決まってんだろ」
 俺は不満に声を上げる。
 簡素な浴室とは言え、立っていれば二人入れない事もない。行為後も俺はべたべたいちゃいちゃしたい。だが、ジャンは素っ気なくなってしまう。俺にとって、これが不満と言えば不満だ。
 縋ろうとする俺を押し退けるように蹴って、ジャンが腰を摩りながら浴室へ歩いていく。俺は床に俯せたまま背中を見送り、ジャンが出てくるまでたった二十分ほどの別れではあるが、一人になる寂しさを噛み締める。
 行為後、大概の男が素っ気なくなるとは聞くから、ジャンの方が一般的で、じゃれ合いたがる俺の方が珍しいのかも知れない。
 風呂に突撃しようか逡巡している数分の間に、抱き着く対象が居なくなった体は更に冷え、ぶるりと身震いをさせ、
「ジャン、俺も入る!」
 十中八九、怒られるであろう、しかし、済し崩し気味に受け入れてくれるであろう行動を起こしたのだった。
   ◆ ◇ ◆ ◇
 時間をかけて風呂を済ませ、ベッドに入ってやっと一息吐く。
 胸元にはフロックがコアラの如く抱き着いて、すやすやと安らかな寝息を立てていた。
 トイレ以外に唯一、一人になれる浴室に乱入され、攻防空しく押し入られた。そして、体に触れていれば興奮したのか二回戦目を懇願されて、最終的には受け入れた甘い自分に頭を抱える。
 頻度を減らして欲しいとの俺の言葉を理解したのかしていないのか。幸せそうに涎を垂らす頬を摘まんで、本人には知覚されない八つ当たり気味の嫌がらせをしつつ溜息を吐いた。
 フロックが嫌いな訳でも、抱き合う行為が嫌な訳でもない。
 嫌いならそもそも一緒には住まない。性行為とて完全に拒絶する。後から嫌になったとしても、話し合ってから出て行く程度の気概は持ち合わせているつもりだ。
 何が嫌か。敢えて一つ言うならば、俺を見てくる目が困る。
 子犬が大好きな飼い主を見る際や、玩具を与えられた時のような、きらきらうるうるした眩し過ぎる笑顔。それをやられると、どうにもむず痒くて、お願いされれば何でも聞いてしまいそうになる甘い自分が顔を出す。あまり甘やかしてはフロックのためにもならず、己を律するためにも、見ないようにしたり、どうにか制限をかけようと努力はしてみるが、結局、甘くなってしまう。
 それが目下の悩みであり、この努力が気付かない内にフロックを傷つけていたようだと今日気付かされた。恋人が目も合わせてくれないのは、考えてみれば確かに嫌だ。
「ちゃんと好きだから安心しろよ」
 本人に言わせれば起きてる時に言え。と、なるだろうが、言えば調子に乗るのは目に見えており、あの顔で迫られてなし崩しになる可能性を思えば口を噤むしかない。しかしながら、こちらから構わなさ過ぎるのも今日のような事になりかねない。
 加減が難しい。
 全く、幸せな悩みだ。
 他人に相談した所で、惚気か。と、呆れられるだけだけで、解決案の提案はして貰えないだろう。自分で、様子見しつつ躾けるしかないようだ。
 もごもご寝言を呟きながら、フロックが俺の体を撫でて抱き締め、足を絡ませてくる。
 圧し掛かるように寝ている人間一人の重さは中々のもので、俺を抱き枕にするフロックが動けば夜中に目を覚ましてしまう事も間々あるため、これが寝不足を誘発し、疲労が取れない原因の一つにもなっていた。
 寝床を分けたいと提案すると泣くだろうか。面倒だ。
 これもじっくり話し合わなければ。
 今日も今日とて俺の悩みは尽きそうにない。

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