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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

仲良く遊びましょ

 ・2018/03/24くらいに書いた
【仲良く遊びましょ】
・ジャンとフロックがゲーム実況してるだけ
・一応フロック→ジャン的なのはある
・個人的にフロックはギャー⁉キャー! ジャンは、うおっ⁉うああああ!なイメージ。





「こんばんはー、今日もおふろとジェイの実況を宜しくお願いします」
「……ます」
 意気揚々とマイクに向かって話しかけているジャンが、今からやるゲームの解説を慣れた様子で始めた。
 因みに、隣で聞いている俺はげんなりしている。目の前にある大き目のパソコンモニターには、血みどろのグロテスクな画面が美しい発色で映し出されていた。アクションホラーの代名詞とも言えるゲーム。銃やナイフでばんばん人の形をした化け物を倒していくものだ。
 ただ敵を倒すアクションであれば俺も歓迎する。が、ホラーは正直嫌いだ。醜悪な化け物も好きじゃない。どうせなら格好いい敵を格好良く倒すゲームが良い。でなければ、ほのぼのと動物を育てていくゲームを。とは何度も訴えたが、あまり聞き入れては貰えない。何故なら、一番求められているものがホラーゲームの実況だからだそうだ。
「ほら、お前も黙ってないで何か言えよ」
 肘で小突かれ、俺は悲し気な眼差しをジャンに向ける。懸命の『やりたくない』の意思表示だが、当然、無視された。大体おふろって何だよ。フロックをもじるなら、もうちょっとねぇのかよ。その場のノリでつけやがって。俺は承諾してないぞ。
「がんばりまーす」
「はい、明らかにテンションの低いコメントありがとうございます」
 確かに尋常じゃなく低い。
 これから俺がこれをやらねばならないのかと思えば上がるはずもない。何度、目を閉じて開いてみても、目の前の現実は変わらない。こいつの部屋でちびってやろうか。色んなものまき散らしてやろうか、畜生。

 何故、こんな事になっているのか、経緯を説明をすれば、以前、ジャンがやる気の維持も兼ねてゲームの実況をやっており、視聴者もそこそこ居るらしいとの事で興味本位で参加した。
 するとどうだ。俺のビビり具合、上げる本気の甲高い悲鳴が視聴者に大いに受けてしまい、興に乗ったジャンからコンビでやろうと持ち掛けられて、再生数のすさまじさに、つい頷いてしまった。悪夢の始まりだ。
 ジャン自身も、俺が驚くのが面白くて仕方ないようで、隣で腹が立つような高笑いをしている時もある。正直殴りたいが、強烈な恐怖や動揺で塗り固められ、異常なほどに激しくなった鼓動や、体の震え、感情の昂りを落ち着かせるために必死で、それどころじゃない。
 恐らくは、今日も俺は悲鳴を上げながらゲームをして、ジャンは隣で嗤っているのだろう。何でこんな事を続けているんだ俺は。もうお前とはゲームをしないと言ってしまえばいいだけなのに、何度も考えてはいても、肝心の言葉は口に上がらない。

「あ、今日のプレイはジェイです」
「えっ……」
 俺が思い付きで言った科白にジャンが驚いて小さく声を上げた。マイクが拾うか拾わないかの小さな声。俺だけに聞こえる声。
 因みに、今は生放送中であるため、編集で誤魔化したりは出来ない。生で流れてくる視聴者コメントも、『珍しい』『ジェイのプレイって久しぶりじゃない?』『今回はジェイが泣き喚くのか、楽しみだ』等々、最近は俺にゲームをやらせてばかりだったので、新鮮味があって視聴者も喜んでいる。これは嫌とは言えないだろう。

 俺はジャンを顧みて、したり顔で笑ってやる。
 ジャンは悔しそうに歯噛みしたが、いつもされているように、俺も無視してやった。一緒に驚いて悲鳴を上げる事もあるが、ジャンはどちらかと言えば控え目な悲鳴だ。それはそれで視聴者も面白がっているようで、画面には好意的なコメントで溢れた。
 俺がにやつきながらコントローラーを渡せば、不満げではあるが、ゲームを開始した。ジャンも元々の器用さのお蔭か、アクションは下手ではない。だが、残念ながらホラーは俺と同じく苦手な部類だ。二人で一緒にやっているから怖さが紛れて横から冷静な突込みや、雑談が出来るのであって、やってる時は途端に口数が少なくなり、比例して俺の口数が増える。どちらかと言えば、助言と言うよりも茶化すような発言が多いが。
「あ、ほら、そこ敵が隠れてるぞ」
「えっ⁉あっ……!あっ、ちょ、あっ……も、あ、うわっ、あっ、あー……」
 俺が指摘してやれば、ジャンは全く気付いてなかった敵に対して動揺し、小刻みな悲鳴を上げてじたばたした挙句、画面の中のキャラクターを死亡させてしまった。流れてくるコメントの中に、『喘ぐなよ』との突っ込み、『あーあー、あとちょっとだったねー。頑張って』との慰めや笑いを表す記号が所狭しと並び、ジャンが死んだ言い訳をごちゃごちゃとしている。
「次!次行くぞ⁉ほら、お前やれよ」
「えー、死亡交代じゃなくて、ステージクリア交代だろ?さっき死んだとこクリアするまで頑張れよ」
 辛辣な言葉で跳ね付けると、ジャンが肘でぐりぐり俺を苛めてくる。
「ほら、みんなも、じゃ……ジェイがやれってさ」
 危ない危ない。本名を呼びそうになった。実況ってこう言うのが面倒なんだよな。とは言っても、ジャンの母親が扉の外から『ジャンボー、ごはんよー』と呼んだ声が入ってしまい、とっくに本名はばれてしまっているが。
「わかったよ、もー……」
 ちらりと俺に助けを求めるように、ジャンが視線を寄越すが、そうは問屋が降ろさない。投げ出したコントローラーを、今度はにっこりと微笑んで渡してやる。
 いつも俺がやられているから。そんな理由もあるが、ジャンの悲鳴が心地良いから。なんて碌でもない理由もある。説明が難しいが、下腹がむずむずすると言えばいいのか、怯えている表情や、潤んだ眼が、色々くるものがある。
「がんばれ、がんばれー」
「やる気のない応援すんじゃねー⁉あっ、くっそ、うー、あと、ちょっと……、うぅ、つよっ……、あー!あっ……、だいじょうぶ、お、お?おっ⁉やったー!しゃー、おらっ!」
 ぎりぎりの瀬戸際で、厄介な中ボスクラスの雑魚敵を倒したジャンが快哉を上げ、周囲に居た他の雑魚敵をせっせと倒して、ほっと息を吐いた。
「あー、疲れたー……」
「この後、ボスが待ってるらしいぞ、そこまでやれよ?」
「休憩、休憩入れよう……」
 コメントからのネタバレを伝えてやるとジャンが両手を上げて降参を意思表示する。今日の生放送は終了。後日動画として上げると約束して、画面を止めたままジャンは床に体を投げ出した。相当疲れたようだ。
「お疲れ」
「おう、疲れた!」
 ごろごろしながらジャンがうつ伏せになり、俺に自分の背中を指差してくる。揉めとの事らしい。
「マッサージ料取るぞ」
「ケーキ買ってある」
 ならばと、背中をゆっくり揉み解してやれば、心地良いのかジャンが声を上げる。一々エロイ。いつか、録画しながら何かしてやろうかな。などと密かな野望を少しずつ膨らませていく俺だった。

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