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馬房

小説は妄想と捏造甚だしい。 原作のネタばれ、都合の良い解釈。 R18、グロ(精神的にも)、暴力表現などが含まれます。 冒頭にざっと注意を書いてありますので、それを読んだ上での 閲覧を宜しくお願い致します。何かあればご連絡いただければ幸いです。 基本的に右ジャンしか書きません。 萌が斜め上です。無駄にシリアスバイオレンス脳です。 拙い文章ですが、少しでもお楽しみ戴ければ嬉しく思います。 右ジャン、ジャン総受けしか書きません。あしからず。

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ふたりいれば




 ジャンが二人居ればなぁ。

 気候が安定しない六月の最中、同居人兼、恋人が荒唐無稽な事を言い出した。
 今晩はどこか蒸し暑く、湿気た空気だから脳が腐ったのか。
「こんなでかくてむさ苦しいのが二人も居て嬉しいのかお前は」
 俺は少しでも頭を冷やしてやろうと、ベッドに寝転がってテレビを見ていたフロックの顔をめがけて団扇で風を送ってやった。
 まだ冷房を入れるほど暑くはないのだが、そんなに頭が煮えるのなら小さい扇風機でも買うべきかな。なんて座椅子の上で寛ぎつつ思案する。
「いや、ほら、十五くらいのお前とか居たら可愛くねぇ?」
「弟が欲しいのか?」
 どちらにせよ、ワンルームで一八〇センチと一九〇センチが狭苦しく暮らしているというのに、妄想としても更に増やしたいなんて寝言が良く言えるなぁ。と、思う。
「なら俺じゃなくてお前の父ちゃんと母ちゃんに頼めよ」
「止めろ。親のそう言うのって想像したくねぇよ」
 じゃあなんで言ったんだ。
「大体、俺の親だと俺と似てるだろ。お前だから二人欲しいんだよ」
「なんで?」
「そりゃ、両手に花って奴だろ」
 最初から理由を訊いて欲しかったんだろうな。ってくらい勢い良く食いつく。

 が、

「へぇ、俺だけじゃ満足できないって事か?浮気願望?」
 団扇を逆に持ち、柄でフロックの顔やら頭を意地悪く笑いながら突くと、ええと。なんて少しばかり焦り出すから面白い。
「俺に似てる奴が居たら浮気するんだ。ふーん?」
「いや、しねぇよ!お前がもう一人居たらなー。がなんで浮気願望になんだよ!こんなに一途な俺を捕まえて!?」
 揶揄いすぎたらしい。
 フロックがベッドから勢い良く起き上がりながら俺の肩を掴み、ぎゃんぎゃんと喧しく喚く。
「はいはい、夜中だから静かにな」
 俺があしらうと、それが気に食わなかったのか、フロックはベッドから降りてコアラのようにくっつきだした。
「フロックさん、暑苦しいんですけど-」
「うっせ、思い知れ」
 わざとらしく団扇で扇いで風を起こす。
 しかしフロックは離れようとしない。
 俺が前言撤回するまで嫌がらせをするつもりらしい。

 現在は夜の十時。
 時間的に、このまま寝落ちする可能性もあるが放っておこうと団扇を動かす。

 二人欲しい。の意味は解らなくもないし、フロックに言わせれば好きなものがいっぱい欲しい。そんな純粋な願望なのだろう。
 でも、そうなると俺は俺自身に嫉妬してしまいかねず、俺が一人で良かったな。なんて俺まで頭が煮えた事を考え出してしまった。









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